春の山(はるのやま)三春
【子季語】
春山、春嶺、春の富士
【関連季語】
山笑ふ
【解説】
春の山は動植物の生気に満ちている。暖かな日の光を浴びて草木は芽吹、鳥獣は恋に余念がない。
【来歴】
『俳諧線車大成』(寛政11年、1799年)に所出。
【文学での言及】
水鳥の鴨の羽色の春山のおほつかなくも思ほゆるかも 笠郎女『万葉集』
【例句】
日くるゝに雉子うつ春の山辺かな
蕪村「蕪村句集」
寝ころぶや手まり程でも春の山
一茶「九番日記」
はるの山に取りまかれてぞ佳れける
乙二「をのゝゑ草稿」
頂きも餘さぬ畑や春の山
白芽「懸葵」
春山や家根ふきかふる御社
村上鬼城 (ホトトギス)
春の山屍をうめて空しかり
高浜虚子「七百五十句」
淋しさや春山を描き雲を添ふ
前田普羅「定本普羅句集」
春山にかの襞は斯くありしかな
中村草田男「長子」
絵巻もの拡げゆく如春の山
星野立子「笹目」
ふるさとは坂八方に春の嶺
飯田龍太「山の木」