夏桑(なつぐわ/なつぐは)三夏
【解説】
葉が生い茂った夏の桑をいう。養蚕の盛んだった頃は桑畑もいたるところで見られたが、今はむしろ山野に自生する桑を目にすることが多い。夏の光沢のある葉に隠れるように結ぶ真っ黒な実は、甘くておいしい。
【科学的見解】
桑は、中国から導入されたクワと日本在来の山野に自生するヤマグワに大きく分けられる。養蚕に活用されていた桑は、中国から導入されたクワであるが、こちらの方がヤマグワに比べ葉に光沢があり、より大きく成長する。養蚕が衰退して現在では、クワ及びヤマグワともに民家周辺や山野に自生し、混在して生育しているが、より人里近くにはクワが多い傾向である。(藤吉正明記)
夏桑に破れすたれし飼屋かな
松本たかし「鷹」