鳶尾草(いちはつ) 仲夏
【子季語】
一八/こやすぐさ/水蘭
【解説】
平安時代に中国より渡来。五~六月、花茎の先端につぼみをつけ、杜若に似た淡紫碧色の花を咲かせる。アヤメ属で最も早く咲くのでイチハツという名が付いた。中央の小さな花びら三枚が、鳶の尾羽の凹みに似ているので、鳶尾草(とびおくさ)の別名もある。
【科学的見解】
イチハツは、中国原産のアヤメ科多年草である。中国のアイリスと言える。古くから観賞用として栽培されてきた。昔は、農家の茅葺屋根の棟の上に植栽する風習があった。近縁種としては、白花個体のシロイチハツが知られている。(藤吉正明記)
【例句】
一八やしやがちちに似てしやがの花
蕪村「新花摘」
小家葺て一八さきぬ二三本
三及「何袋」
一八の白きを活けて達磨の画
正岡子規「季語別子規俳句集」