孕み鹿(はらみじか) 三春
【解説】
鹿は晩秋から冬にかけて交尾し、二月から三月になると孕んでいるのが分かるようになる。孕み鹿は、体も重たげで動作も鈍い。五月中頃から七月頃に出産する。子の数はふつう一頭で双子はきわめて少ない。
【科学的見解】
シカ(ニホンジカ)は、ウシ目(偶蹄目)シカ科の哺乳類で、日本に生息する種は北海道のエゾジカから沖縄のケラマジカまで六亜種に分類されている。
秋の交尾期を迎えると、一頭の強い雄と数頭の雌からなる集団(ハレム)を形成する。この時期には、雄の縄張り主張の鳴き声が野山に響き渡る。妊娠期間は約二百三十日とされている。出産期は五月から七月で、通常一仔を出産する。(藤吉正明記)
【例句】
藤橋や重き身を越す孕鹿
几菫「井華集」
たよたよと雄にかくれけりはらみ鹿
大江丸「題叢」