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季語と歳時記

きごさい歳時記

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青瓢(あおふくべ、あをふくべ)初秋

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【子季語】
瓢、ひさご、瓢箪、青瓢箪、百生り、千生り
【解説】
青瓢は、古来よりその形を愛でられてきた夕顔の仲間である。飲料の容器として、また縦に割り杓文字や柄杓としても使われてきた。災難除けの呪具としての意味もある。白い花にも風情がある。
【科学的見解】
青瓢は、未熟な緑色をした瓢箪(ヒョウタン)のことである。ヒョウタンは、ウリ科ヒョウタン属のつる性1年草であり、夕顔(ユウガオ)と近縁の植物である。原産は、アフリカと考えられている。ヒョウタンの果実の形は、中央部がくびれたものが一般的であるが、その他にも様々な形がある。(藤吉正明記)
【例句】
ものひとつ我が世はかろき瓢かな
芭蕉「栞集」

市中にふくべを植ゑし住まひかな
越人「初蝉」

竹の声許由がひさご未だ青し
其角「五元集」

順礼の目鼻書行くふくべかな 
蕪村「蕪村句集」

日の影の石にこぼるゝ瓢かな
巴人「夜半亭発句帖」

遙かなる思ひから覚め青瓢
長谷川櫂「果実」

へうたんの形をなしてただしづか
高田正子「花実」

カテゴリー: 1基本季語, g植物

残雪(ざんせつ)仲春

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【子季語】
雪残る、陰雪、去年の雪、雪形
【解説】
春になっても消えずに残っている雪。町中では日の当たらない庭の隅や建物の裏などに、野山では木や岩や山の陰に残る。春が進んだ頃、遠くの山肌に残っている雪が輝いているのもいい。山に残る雪の形で種まきの時期を判断したという地方もある。
【例句】
木枕の垢や伊吹に残る雪 
丈草「丈草発句集」

家遠き大竹はらや残る雪
太祗「太祗句選」

雪国の雪もちよぼちよぼ残りけり 
一茶「七番日記」

舟々の小松に雪の残りけり
旦藁「春日」

鳥騒ぐ市中遠く残る雪 
几董「晋明集二稿」

雪残る頂一つ国境 
正岡子規「子規句集」

一枚の餅のごとくに雪残る 
川端茅舎「川端茅舎句集」

残雪やごうごうと吹く松の風
村上鬼城「定本鬼城句集」

残雪や小笹にまじる竜の髯 
芥川龍之介「我鬼句抄」

残雪に灰うち捨てし曇りかな 
佐藤紅緑「花紅柳緑」

カテゴリー: 1基本季語, c地理

春隣(はるとなり)晩冬

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【子季語】
春近し、明日の春、春信、春まぢか、春とおからじ
【解説】
晩冬には寒さが緩む日が多く、春の訪れを感じることが多くなる。春の隣は春が近いということ。春がもうすぐそこまで来ていること。春の気配。春を待ちわびる気持ちに立った季語。
【例句】
一吹雪春の隣となりにけり
前田普羅「普羅句集」

ほどけたる雪に日溢れ春隣
日野草城「昨日の花」

借りし書の返しがたなし春隣
松本たかし「石魂」

鳥笛は息のなきがら春隣
長谷川櫂「古志」

カテゴリー: 1基本季語, a時候

雪女郎(ゆきじょろう、ゆきぢよろう)晩冬

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【子季語】
雪女、雪坊主、雪の精
【解説】
雪国の伝説にある雪女、雪の精のこと。幾月も雪にとざされる豪雪地方では、迫りくる闇、吹雪の夜の風の音など、いろいろな自然現象がときに幻想となって現れたりする。雪夜に人を惑わすというその美しさ、恐ろしさが今も語り継がれている。
【例句】
あらはれて見えよ芭蕉の雪女
三圃「そらつぶて」

かかる夜の檐にや忍ぶ雪女郎
臼田亜浪「定本亜浪句集」

雪女郎おそろし父の恋恐ろし
中村草田男「火の島」

すいときて眉のなかりし雪女郎
森澄雄「游方」

雪女郎雪間の水の音となり
長谷川櫂「古志」

カテゴリー: 1基本季語, b天文

浮寝鳥(うきねどり)三冬

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【子季語】
浮鳥
【解説】
毎年越冬のため、毎年日本に渡ってきて川や湖沼で一冬を過ごす水鳥の群れ。鴨・雁・鳰・鴛鴦・白鳥などが、水面に浮かんで眠るさまをいう。おおかたは羽根に首を突っ込みまるまった姿で浮いている。
【例句】
鳥共も寝入ってゐるか余呉の海
路通「猿蓑」

暁の山を越え来てうきね鳥
暁台「暁台句集」

月澄むや音なき水に浮寝鳥 
蘭更「半化方合句集」

江戸橋やつい人馴れて浮寝鳥
一茶「七番日記」

水鳥のおもたく見えて浮きにけり
鬼貫「鬼貫句集」

汽罐(かま)のもの火のまゝ棄つる浮寝鳥
久米三汀「返り花」

燦爛と波荒るゝなり浮寝鳥
芝不器男「定本芝不器男句集」

この旅の思ひ出波の浮寝鳥
星野立子「笹目」

浮寝鳥よべは大きな月の中
長谷川櫂「初雁」

カテゴリー: 1基本季語, f動物

穴惑ひ(あなまどい、あなまどひ)仲秋

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【解説】
秋の彼岸をすぎ、寒さが増す中でも冬眠の穴にはいらず、地上に残っている蛇のこと。
【例句】
樋竹をのたりあるくや穴惑
都雀「発句題草」

カテゴリー: 1基本季語, f動物

南天の実(なんてんのみ)三冬

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【子季語】
実南天、白南天
【解説】
初夏の頃白い小花を穂状につけるが、これが小粒の球形の実になる。枝先に群がった実は晩秋から初冬に真っ赤に色づく。「難を転ずる」に通じることから、鬼門や水周りに植えたり、縁起物として正月飾や祝い事に用いられる。
【科学的見解】
南天(ナンテン)は、メギ科ナンテン属の常緑低木であり、西日本の暖地に野生しているが、在来の植物かどうかは不明とされる。変種として、シロミナンテンやフジナンテンが存在する。果実には、アルカロイドが含まれており、咳止めなどに利用されている。(藤吉正明記)
【例句】
南天や秋をかまゆる小倉山
其角「焦尾琴」

日当りや南天の実のかん袋
一茶「八番日記」

億年のなかの今生実南天
森澄雄「四遠」

カテゴリー: 1基本季語, g植物

藪柑子(やぶこうじ、やぶかうじ)三冬

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【子季語】
山橘、藪たちばな、あかだま、ししくわず、平地木、蔓柑子
【解説】
ヤブコウジ科の高さ二十センチほどの常緑低木。夏、白い花を咲かせる。冬でも枯れることのない緑の葉と小粒の赤い実の姿を楽しむ。神事にも使われる縁起物である。
【科学的見解】
薮柑子(ヤブコウジ)は、ヤブコウジ科ヤブコウジ属の在来植物であり、北海道南部から九州までの丘陵地林内に普通に生育している。白い実をつけるシロミヤブコウジやホソバヤブコウジなどの変種が存在する他、様々な園芸品種が作出されている。ヤブコウジは、江戸時代に流行した古典園芸植物でもある。(藤吉正明記)
【例句】
髪かくるやと?にかざす藪柑子
杉風「杉風句集」

ぬれいろや色なる雪の藪柑子
白雄「白雄句集」

ちゝと鳴く鳥の行方や藪柑子
巌谷小波「さゞら波」

洗ひ場に湯気こもりけり藪柑子
長谷川櫂「古志」

カテゴリー: 1基本季語, g植物

枯葎(かれむぐら)三冬

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【解説】
夏に生い茂っていた葎が、冬になりすっかり枯れ果てた様子をいう。金葎や八重葎などがあるが、葎はそれらつる草の総称として用いられる。 
【例句】
あたたかな雨がふるなり枯葎
正岡子規「春夏秋冬」

生ながらいなご凍てゆく枯葎
伊藤月草「わが住む里」

カテゴリー: 1基本季語, g植物

枯芒(かれすすき)三冬

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【子季語】
枯尾花、芒枯る、枯薄、尾花枯る、冬芒
【解説】
枯れ尽くした芒。葉も穂も枯れ果て、茎の部分が風に揺れる姿は
寂寥感の極み。枯れ尽くした芒も野原一面に群れると美しくもあ
る。雪や風の中に見るのも風情がひとしお。芒は秋の季語。 
 【例句】
ともかくもならでや雪の枯尾花
芭蕉「北の山」

枯きつて風のはげしき薄かな
杉風「木曾の谷」

枯尾花野守が鬢にさはりけり
蕪村「蕪村遺稿」

水際の日に日に遠しかれを花 
暁台「暁台句集」

土になれ土になれとやかれ尾花 
一茶「七番日記」

空也寺や町から見ゆる枯尾花
梅室「梅室家集」

落柿舎のひとむら芒枯れにけり
村上鬼城「定本鬼城句集」

路傍の石に夕日や枯すすき
泉鏡花「鏡花全集」

枯尾花日光富士を消しにけり
渡辺水巴「水巴句集」

日にとくる霜の白さや枯芒
原石鼎「花影」

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『花のテラスで Ⅱ』
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