蟹
山や川、磯にいる小蟹のこと。沢蟹などは夏料理の涼感の演出に用いられたり、から揚げにして食したりする。ずわい蟹やたらば蟹は冬の季語。
さゞれ蟹足はひのぼる清水哉
芭蕉 「続虚栗」
蟹を見て気の付く岨の清水かな
桃隣 「陸奥鵆」
みじか夜や芦間流るる蟹の泡
蕪村 「落日庵句帖」
空をはさむ蟹死にをるや雲の峰
河東碧梧桐 「碧梧桐句集」
蟹売をあはれと見るや日の盛
原石鼎 「原石鼎全句集」
山蟹の足高かにありく苔の花
吉田冬葉 「冬葉第一句集」
蟹の目の巌間に窪む極暑かな
泉鏡花 「鏡花句集」
遠雷や土間に這ひ出し蟹の色
久米三汀 「返り花」
ひとでふみ蟹とたはむれ磯あそび
杉田久女 「杉田久女句集」
山蟹のさばしる赤さ見たりけり
加藤楸邨「穂高」