屠蘇(とそ) 新年

【子季語】
屠蘇酒、屠蘇袋、屠蘇の香、屠蘇の酔、屠蘇延命散、屠蘇散
【関連季語】
年酒、御薬を供ず
【解説】
正月に酌む薬酒。酒、みりんに山椒や肉桂、桔梗などの根や皮を浸して作る。朱塗りの三つ重ねの杯を用い、延命長寿を願って、年少者から順に飲む。年賀の客に振舞うのは「年酒」であって、屠蘇とは区別する。
【来歴】
『毛吹草』(正保2年、1645年)に所出。
【実証的見解】
屠蘇の語源はいろいろある。「屠蘇」という草庵に住む人が疫病よけに始めたからという説。屠蘇の「蘇」は悪鬼の名であり、それを屠るから「屠蘇」という説。「屠」はほふるであり、「蘇」はよみがえるであるから、邪気を退散させ、魂をよみがえらせることから「屠蘇」の名があるという説。いずれにしても、疫病を退け、不老長寿を願うための薬酒であることに変わりはない。屠蘇はもともと、屠蘇延命散といい、平安時代の嵯峨天皇のころに中国から伝わった薬酒。屠蘇の慣習は、宮中での「御薬を供ず」という三が日の行事から始まって、江戸時代に庶民にも広まった。

屠蘇の酒あら玉垂の小亀かな
季吟 「玉海集」

元日や花咲春は屠蘇の酒
杉風 「杉風句集」

屠蘇の香や枕にうらむ薬紙
支考 「獅子物狂」

屠蘇酒や又とそまでの遊びぞめ
千代女 「壬子歳旦帖」

ぬれ色やほのぼの明けのとそ袋
一茶 「七番日記」

月代にとそぬり付けて出たりけり
一茶 「七番日記」

指につく屠蘇も一日匂ひけり
梅室 「梅室家集」

小さなる屠蘇の杯一つづつ
村上鬼城 「定本鬼城句集」

屠蘇くめや短くなりしいのちの緒
森澄雄 「四遠」

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