蛍(ほたる) 仲夏

【子季語】
大蛍、初蛍、蛍火、朝の蛍、昼蛍、夕蛍、宵蛍、雨の蛍、蛍合戦、平家蛍、源氏蛍、姫蛍、草蛍、ほうたる
【関連季語】
蛍籠、蛍狩、秋の蛍
【解説】
夏の夜、水辺で冷たい光を明滅させながら集団で飛び交う昆虫。
【来歴】
『花火草』(寛永13年、1636年)に所出。【文学での言及】
夕されば蛍よりけに燃ゆれども光見ねばやひとのつれなき 紀友則『古今集』
もの思へば沢の蛍もわが身よりあくがれ出づる魂かとぞ見る 和泉式部『後拾遺集』
【実証的見解】
甲虫目ホタル科の昆虫。夜になるとルシフェリンという発光物質の働きによる冷光を腹部に点滅させる。集団での求愛行動である。日本には四十種類以上のホタルが確認されているが代表的なものは国内で一番大きな源氏蛍とそれより小さな平家蛍である。独特の匂いがある。

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草の葉を落るより飛蛍哉
芭蕉 「泊舟集」

己が火を木々の蛍や花の宿
芭蕉 「己が光」

愚にくらく茨をつかむ蛍哉
芭蕉 「東日記」

此ほたる田ごとの月にくらべみん
芭蕉 「三つのかほ」

めに残るよしのをせたの螢哉 
芭蕉 「真蹟詠草」

蛍火の昼は消えつゝ柱かな
芭蕉 「曾良本奥の細道」

ほたる飛や家路にかへる蜆売
蕪村 「夜半叟句集」

暗闇の筧をつたふ蛍かな
許六 「旅館日記」

人寝て蛍飛ぶなり蚊帳の中
正岡子規 「子規句集」

人殺す我かも知らず飛ぶ蛍
前田普羅 「普羅句集」

山霧に蛍きりきり吹かれたり 
臼田亜浪 「旅人」

瀬をあらび堰に遊べる蛍かな
原石鼎 「原石鼎全句集」

蛍籠われに安心あらしめよ
石田波郷「酒中花以降」

葉先より指に梳きとる蛍かな
長谷川櫂 「天球」

あつき手をもて蛍火を掬ふかな
高田正子 「玩具」

草深く置けばつめたし蛍籠
高田正子 「花実」

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