七夕(たなばた) 初秋

【子季語】
棚機、棚機つ女、七夕祭、星祭、星祝、星の手向け、星の秋、星今宵、星の歌、芋の葉の露
【関連季語】
天の川、梶の葉、硯洗、庭の立琴、星合、牽牛、織女、鵲の橋、乞巧奠
【解説】
旧暦七月七日の夜、またはその夜の行事。織姫と彦星が天の川を渡って年に一度合うことを許される夜である。地上では七夕竹に願い事を書いた短冊を飾り、この夜を祝う。
【来歴】
『花火草』(寛永13年、1636年)に所出。
【実証的見解】
夏から秋に季節が変わるころ、「棚機女(たなばたつめ)」と呼ばれる少女が、人里離れた水辺の「棚」の中で「機」を織りながら、水の上を渡って訪れる神を待つという言伝えがある。この「棚」と「機」が「たなばた」の語源である。この言伝えが、奈良時代になって、裁縫上達を願う中国の「乞巧奠」の行事と結びついて、現在の「七夕」の行事になったとされる。中国の「乞巧奠」では五色の糸や針を供えて、星に裁縫の上達を願った。これが発展して七夕の夜にはさまざまの願いごとを短冊に書いて竹に飾るようになった。七夕の夜には、天の川をはさんで、彦星と織姫星が接近することから、年に一度の逢瀬にたとえられ、さまざまな伝説が各地で生まれた。また、七夕は、盆の前のみそぎの行事でもあり、笹竹や供え物を川や海に流し、罪や穢れを祓う儀式も行われた。これが「七夕流し」である。

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七夕や秋を定むる初めの夜
芭蕉 「有磯海」

七夕のあはぬこゝろや雨中天
芭蕉 「続山の井」

高水に星も旅寝や岩の上
芭蕉 「真蹟」

七夕やまづ寄合うて踊初め
惟然 「惟然坊句集」

七夕や賀茂川わたる牛車 
嵐雪 「砂つばめ」

恋さまざま願ひの糸も白きより
蕪村 「夜半叟」

七夕に願ひの一つ涼しかれ
成美 「成美家集」

七夕や灯さぬ舟の見えてゆく
臼田亜浪 「亜浪句鈔」

うれしさや七夕竹の中を行く 
正岡子規 「子規句集」

七夕や男の髪も漆黒に
中村草田男 「長子」

草負うて男もどりぬ星祭
石田波郷  「鶴の眼」

七夕竹惜命の文字隠れなし
石田波郷「惜命」

星屑の恋する秋となりにけり
長谷川櫂 「虚空」

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