紅葉(もみじ、もみぢ)晩秋

【子季語】
もみぢ葉、色葉、色見葉、紅葉の錦、谿紅葉、紅葉川、紅葉山、紅葉出づ、梢の錦
【解説】
落葉樹の葉が赤や黄色に色づき、野山の秋を飾る。紅葉といえば主に楓のことをいう。紅葉を愛でるという習慣は平安の頃の風流から始まったとされている。
【科学的見解】
紅葉は、葉の中に含まれている色素の割合が変化することで、赤色や黄色になる。色素としては、クロロフィル類(緑色)、アントシアニン類(赤色)、キサントフィル類(黄色)などが存在する。通常の葉は、クロロフィル類が多く含まれているため、緑色に見えるが、落葉前にはクロロフィル類を分解し、栄養を再吸収(枝や幹などに貯蓄)する。すると、落葉時の葉では、クロロフィル類以外の色素の量が多くなり、種によって赤色や黄色に変化するのである。紅葉は、人にとっては美しいものであるが、植物にとっては厳しい自然で生き抜くための工夫である。(藤吉正明記)

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文ならぬいろはもかきて火中哉
芭蕉 「千宣理記」

蔦の葉はむかしめきたる紅葉哉
芭蕉 「荵摺」

静かなり紅葉の中の松の色?
越人 「庭竈集」

山くれて紅葉の朱をうばひけり
蕪村 「蕪村遺稿」

二荒や紅葉が中の朱の橋?
蕪村 「夜半叟句集」

紅葉して寺あるさまの梢かな?
蕪村 「連句会草稿」

暮れさむく紅葉に啼くや山がらす
白雄 「白雄句集」

かざす手のうら透き通るもみぢかな
大江丸 「はかい袋」

紅葉折る音ひと谷にひゞきけり
梅室 「梅室家集 下」

障子しめて四方の紅葉を感じをり
星野立子「實生」

激つ瀬をあらおもしろの紅葉舟
長谷川櫂 「初雁」

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