第7回 きごさい講座+句会 報告

DSC_5348DSC_53447月3日(日) 神奈川近代文学館で「第7回きごさい講座+句会」が開かれた。
学校俳句研究会幹事長、千代田区立千代田小学校教諭である山本新先生の「家族で楽しむ俳句 感性豊かな子どもを育む俳句―三つの扉」は、まず、自らの俳句体験から始まった。徐々に興味を持った家族全員で俳句を楽しんで、毎日俳句大賞やおーいお茶などのコンテストに親子で入選を果たすエピーソドには、会場からも「すごいね!」の声。俳句を子どもたちに楽しみながら教えることの実践を、すでに家庭内で試みて成果まで出した山本先生の俳句教育の情熱が伝わった。
教育現場でも、俳句を学び、作ることを通じて①日本語力②発見力③ひらめき力を育てる大きな効果があることは浸透しつつある。さらに、自然を、風習を、文化を、人を、美しいものを大切にする心を、俳句は確実に育んでくれる。俳句が取り上げられている実際の教科書の部分を、学年別に(3~6年生)示しながら、四季折々のことばや例句による日本語の響きを覚えていくプロセスを語った。
平成22年から学習指導要領に俳句の実作が義務付けられ、全ての教科書がその方向に従って記述、編集されている。しかし、クラス全員が、楽しく俳句をつくれる授業をすることは簡単ではなく、各所で出張モデル授業を実施している日本学校俳句研究会の役割もそこにある。
後半は、授業における俳句教育の具体的な方法論を展開。客席を三つに分けて、上五、中七、下五担当のそれぞれの短冊に好きな言葉を書き込み、組み合わせて、読み上げる。その結果、驚きの取り合せ、究極のナンセンス、偶然の傑作・・・が出る、その度に笑う会場。五七五に慣れるための三人俳句は、授業でも効果的な手段だという。他に五七五リレー遊び、日記俳句、作文俳句、写真俳句、俳句絵手紙、俳句と写真のスライドショー・・・ハードルを低くして、俳句と遊ぶ方法を次々と提示した。
最後によい子どもの俳句とは、リズムがよい、その子らしさが出ている、その子の発見がある、様子がよく見える、気持ちが感じられる・・・こと。現在は、夏休みの宿題に、俳句を作りが出される学校が増えている。
山本新先生の講演は、教育現場に立っている人ならではの、実感のある内容や教室の様子まで感じられて、教えられることが多く、何よりも教える側の情熱が伝わってきました。

その後、参加者全員で句会を開催。五句出、五句選。選者は、長谷川櫂季語歳代表と山本新先生。
句会後、長谷川×山本、お二人のトークの時間を設け、学校俳句に関する代表の問にひとつひとつ山本先生が説明をしていった。季語歳と研究会が一緒になって作った『こども歳時記』(小学館刊)は、教室でよく活用されている。長谷川代表の「現場の先生から俳句授業で一番多い質問は何か?」の問いかけには「子ども俳句のよい俳句の基準が、分からない」と先生方は悩んでいるという。また「小学校の先生の適正として最も重要な事は?」に対して「子どもたちと共に喜び、驚き、共感できる資質」と答えられたことが印象に残った。(レポート:西川 遊歩・写真提供:阿部郁恵)

<句会報告  選者=山本新、長谷川櫂>
◆ 山本新 選
特選
なにかにと言うて詮なき団扇かな  小早川東子
すうと来てひとめぐりして鬼蜻蜒  藤野侃
なるべくは大きな盥星映し  石川桃瑪
入選
みづからの炎に灼かれゆく薔薇よ  長谷川櫂
鈴かけの鈴あをあをと青葉騒  阿部郁恵
人文字で描く希望や夏の空  小山正見
アガパンサスアメリカ山の雨あがる  阿部郁恵
大好きな先生と覗く金魚かな  飛岡光枝
マンモスの記憶は遥か半夏雨  小山正見
氷室より切り出してこの一句かな  飛岡光枝
沖縄の空は真青や仏桑花  木下洋子

◆ 長谷川櫂 選
特選
俳諧に三つの扉燕の子  三玉一郎
情熱は涼し俳句の講義聴く   阿部郁恵
教科書で初めて知つた雲の峰  小山正見
香水やローマ落日かくありて  鈴木伊豆山
扉開け光のシャワー浴びる夏  葛西美津子
入選
炎昼のトロンボーンに深き穴  山本新
レース編む話しかけられても無言  石川桃瑪
なにかにと言うて詮なき団扇かな  小早川東子
誰だつて父母のいとし子天花粉  趙栄順
ペリカンの嘴のやうなる百合の莟  西川遊歩
君にある自由の大地夏休み  趙栄順
すうと来てひとめぐりして鬼蜻蜒  藤野侃
大好きな先生と覗く金魚かな  飛岡光枝
夏休み宿題はまづ俳句から  葛西美津子
ゆれながら眠りに落ちる未草  飛岡光枝
建築の人ら見に来る夏館  西川遊歩
水たまり残して梅雨の終はるころ  山本新
氷室より切り出してこの一句かな  飛岡光枝

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