蝶(ちょう、てふ) 三春
子季語 | 蝶々、胡蝶、蝶生る、春の蝶、眠る蝶、狂う蝶、小灰蝶、胡蝶の夢、岐阜蝶、双蝶、緋蝶 だんだら蝶 |
関連季語 | 揚羽蝶、夏の蝶、秋の蝶、冬の蝶、凍蝶、芋虫、蛾 |
解説 | 蝶は彩りあざやかな大きな翅をもつ昆虫。花の蜜を求めてひらひらと舞ふ。 |
来歴 | 『毛吹草』(正保2年、1645年)に所出。 |
文学での言及 | 散りぬれば後はあくたになる花を思ひ知らずもまどふ蝶かな 僧正遍照『古今集』 |
実証的見解 | 蝶は、昆虫綱チョウ目のうち蛾目以外に分類される昆虫の総称である。南極大陸を除く全 世界に分布し、日本では二百五十種類ほどが知られている。成虫の触角は長く、先にふく らみがある。卵 、幼虫、蛹、成虫という変態をおこなう。幼虫はアオムシ、イモムシ、 ケムシなどと呼ばれる。成虫は、鱗粉でおおわれる四枚の羽を持ち、ストロー状に細長く 伸びる口吻で、花の蜜や樹液などを吸う。 |
参考文献 |
蝶の飛ぶばかり野中の日影かな | 芭蕉 「笈日記」 | ||
起きよ起きよ我が友にせんぬる(寝る)胡蝶 | 芭蕉 「己が光」 | ||
唐土の俳諧とはんとぶ小蝶 | 芭蕉 「蕉翁句集 | ||
てふの羽の幾度越る塀のやね | 芭蕉 「芭蕉句選拾遺」 | ||
物好や匂はぬ草にとまる蝶 | 芭蕉 「都曲」 | ||
君や蝶我や荘子が夢心 | 芭蕉 「芭蕉書簡」 | ||
蝶よ蝶よ唐土のはいかい問む | 芭蕉 「真蹟画讃」 | ||
釣鐘にとまりて眠る胡てふかな | 蕪村 「題苑集」 | ||
うつゝなきつまみごゝろの胡蝶哉 | 蕪村 「蕪村句集」 | ||
夕風や野川を蝶の越しより | 白雄 「白雄句集」 | ||
蝶々や順礼の子のおくれがち | 子規 「子規全集」 | ||
ひらひらと蝶々黄なり水の上 | 子規 「子規全集」 | ||
愁あり歩き慰む蝶の昼 | 松本たかし 「鷹」 | ||
高々と蝶こゆる谷の深さかな | 原石鼎 「花影」 | ||
浮御堂めぐりて空へ春の蝶 | 長谷川櫂 「松島」 | ||