子季語 | 初蝉、蝉時雨、朝蝉、夕蝉、夜蝉、油蝉、みんみん蝉、熊蝉、蝉捕り、深山蝉 |
関連季語 | 松蝉、春蝉、法師蝉、蜩、秋の蝉、空蝉、蝉生る |
解説 | 夏、樹木などにへばりついてやかましく鳴声を立てる虫。多くの蝉がいっせいに鳴く騒が しさを時雨にたとえて蝉時雨という。 |
来歴 | 『花火草』(寛永13年、1636年)に所出。 |
文学での言及 | 石走る滝もとどろに鳴く蝉の声をし聞けば京師(みやこ)し思ほゆ 大石蓑麿『万葉集』 |
実証的見解 | 半翅目セミ科に分類される昆虫の総称。樹皮の中で孵化した後、幼虫は地中で三年から十 年ほど過ごして蛹となり、その後地表に出て成虫となる。地表で生活する成虫期は一から 三週間程度。雄の成虫は雌を呼ぶなどのため、腹腔内を共鳴させて鳴く。鳴く時期や時間、 所場は蝉の種類によって異なる。本州で一番早く出る蝉は、松蝉で春蝉とも呼ばれる。六 月下旬にはにいにい蝉が鳴き始める。油蝉や熊蝉が鳴くのは梅雨明けのころである。 |
参考文献 |
やがて死ぬけしきは見えず蝉の声 | 芭蕉 「猿蓑」 | ||
閑さや岩にしみ入る蝉の声 | 芭蕉 「奥の細道」 | ||
いでや我よきぬのきたり蝉衣 | 芭蕉 「あつめ句」 | ||
撞鐘もひゞくやうなり蝉の声 | 芭蕉 「笈日記」 | ||
蝉の音をこぼす梢のあらしかな | 支孝 「梟日記」 | ||
耳底に蝉はまだ啼く枕かな | 蓼太 「蓼太句集二編」 | ||
母と住む木陰の里や夜の蝉 | 素郷 「発句題叢」 | ||
蝉涼し絵馬の天人身を横に | 松本たかし 「野守」 | ||
幾万の蝉死に絶えて風の音 | 長谷川櫂 「虚空」 | ||