百合の花(ゆりのはな) 仲夏
子季語 | 鬼百合、鉄砲百合、笹百合、姫百合、車百合、山百合、鹿の子百合、透百合、白百合 |
関連季語 | |
解説 | 百合は夏、ラッパ形の香り高い花を咲かせる。白に紅の斑がある山百合、黄赤に紫の斑が ある鬼百合、花が大砲の筒のような鉄砲百合など、原種だけでも百種以上を数える。「ゆ り」の語源は「揺り」で、「百合」の字を当てるのは、ゆり根の鱗茎の重なりあうさまか らきている。 |
来歴 | 『花火草』(寛永13年、1636年)に所出。 |
文学での言及 | 道の辺の草深百合の花笑みに笑みしがからに妻と言ふべしや 作者不詳『万葉集』 夏の野の茂みに咲ける姫百合の知らえぬ恋は苦しきものぞ 坂上郎女『万葉集』 |
実証的見解 | 百合はユリ科の球根植物の総称で、アジア、ヨーロッパ、北アメリカなどの北半球に広く 分布する。地下に球状の鱗茎をもちそこから茎が伸びる。五月から八月にかけて一茎に一 個または数個の花を咲かせる。ヤマユリは日本原産でおもに本州の山地に自生する。六片 の白い花びらに赤い斑点が持ち、高さは百五十センチくらい。花は大輪で二十センチにも なり、強い香りを放つ。オニユリは、古く中国から渡来したものと考えられ、日本全国に 広く自生する。六片のオレンジ色の花びらに黒い斑点を持ち、花びらは中ほどから外側へ 反り返る。 |
参考文献 |
花をやれとかく浮世は車百合 | 宗因 「続境海草」 | ||
わすれ草もしわすれなば百合の花 | 素堂 「山口素堂句集」 | ||
百合の花折られぬ先にうつむきぬ | 其角 「其角発句集」 | ||
飴売の箱にさいたや百合の花 | 嵐雪 「玄峰集」 | ||
ひだるさをうなづきあひぬ百合の花-- | 支考 「喪の名残」 | ||
かりそめに早百合生けたり谷の房 | 蕪村 「蕪村句集」 | ||