茗荷の子(みょうがのこ、めうがのこ) 晩夏
子季語 | 茗荷汁 |
関連季語 | 茗荷の花、茗荷竹 |
解説 | 茗荷の花芽。風味があり、味噌汁の具や薬味にするが、これを食べると物を忘れるという 俗説がある。「茗荷の花」は秋。 |
来歴 | 『毛吹草』(正保2年、1645年)に所出。 |
文学での言及 | |
実証的見解 | 茗荷は、ショウガ科の多年草で東南アジア原産。日本各地の山野に自生するが、野菜とし ても栽培される。高さは五十センチから一メートルくらい。地下茎を伸ばして群生する。 生姜に似た披針形の葉は互生する。七月から十月にかけて地下茎から花茎を出し淡黄色の 花を咲かせる。花が開く前の莟が食用になるほか、春の若芽の「茗荷竹」も汁の具などに する。 釈迦の弟子に周梨槃特(しゅりはんどく)という人がいた。ひどく物覚えが悪く、自分の 名さえ忘れるので、自分の名前を書いた札をいつも背負って歩いた。そんなふうだから笑 い者にされたが、槃特は、釈迦の教えを守って精進を続け、やがて、悟りの域に達した。 死後、その墓に名も知れぬ草が生えた。いつも名をになって歩いていた槃特にちなんでそ の草は「茗荷」と名付られた。「茗荷を食べると物忘れする」という俗説は、この槃特の 忘れっぽさに由来するとされる。 |
参考文献 |
茗荷汁にうつりて淋し己が顔-- | 村上鬼城 「定本鬼城句集」 | ||