行く秋(ゆくあき) 晩秋
子季語 | 秋懐逝く秋、秋の別れ、秋の名残、秋の行方、残る秋、秋の末、秋の終り、秋の果、秋行く 秋過ぐ |
関連季語 | |
解説 | 過ぎさってゆく秋のこと。秋から冬へと移ろい行くさま。「行く春」と違って寂寥感に満 ちており、秋を惜しむ気持ちが深く現れた季語である。移ろい行く季節を、旅人になぞら えて「行く」と形容するが、春と秋だけのもので、「行く夏」「行く冬」とはいわない。 |
来歴 | 『山の井』(正保5年、1648年)に所出。 |
文学での言及 | ゆく秋の形見なるべきもみぢ葉も明日は時雨と降りやまがはむ 藤原兼宗『新古今集』 |
実証的見解 | |
参考文献 |
行く秋や身に引きまとふ三布蒲団 | 芭蕉 「韻塞」 | ||
行秋のけしに迫りてかくれけり | 芭蕉 「芭蕉宛書簡」 | ||
蛤のふたみに別れ行く秋ぞ | 芭蕉 「奥の細道」 | ||
むさしのやさはるものなき君が傘 | 芭蕉 「続寒菊」 | ||
行くあきや手をひろげたる栗のいが | 芭蕉 「続猿蓑」 | ||
行秋のなほたのもしや青蜜柑 | 芭蕉 「うき世の北」 | ||
あきの別れ石ともならで女郎花 | 也有 「蘿葉集」 | ||
行く秋や抱けば身に添ふ膝がしら | 太祇 「太祇句選」 | ||
行く秋やよき衣きたる掛り人 | 蕪村 「蕪村句集」 | ||
行く秋の草にかくるる流れかな | 白雄 「白雄句集」 | ||
塩負うて山人遠く行く秋ぞ | 暁台 「暁台句集」 | ||
利根川の秋もなごりの月よかな | 一茶 「文化句帖」 | ||
行く秋の我に神無し仏無し | 正岡子規 「子規句集」 | ||
行秋をしぐれかけたり法隆寺 | 正岡子規 「子規句集」 | ||
行く秋や博多の帯の解け易き | 夏目漱石 「漱石全集」 | ||
ゆく秋を乙女さびせり坊が妻 | 芝不器男 「芝不器男句集」 |