子季語 | 秋の風、白風、金風、爽籟、風爽か |
関連季語 | 色なき風 |
解説 | 秋になって吹く風。立秋のころ吹く秋風は秋の訪れを知らせる風である。秋の進行ととも に風の吹き方も変化し、初秋には残暑をともなって吹き、しだいに爽やかになり、晩秋に は冷気をともなって蕭条と吹く。秋が五行説の金行にあたるので「金風」、また、秋の色 が白にあたるので「白風」ともいう。 |
来歴 | 『世話盡』(明暦2年、1656年)に所出。 |
文学での言及 | 秋風に阿倍野靡く河傍の和草のにこよかにしも思ほゆるかも 大伴家持『万葉集』 秋風の寒き朝けを佐農の岡越ゆらむ君に衣借さましを 山部赤人『万葉集』 昨日こそ早苗とりしかいつのまに稲葉そよぎて秋風ぞ吹く よみ人しらず『古今集』 秋風の吹きにし日より音羽内峰のこずゑも色づきにけり 紀貫之『古今集』 初秋風涼しき夕べ解かむとて紐は結びし妹に逢はむため 犬伴家持『万葉集』 ふきいづるねどころ高く聞ゆなり初秋風はいざ手馴らさじ 小弐のめのと『後撰集』 月かげの初秋風と吹きゆけばこころづくしに物をこそ坦へ 円融院『新古今集』 わがせこが衣のすそを吹きかへし裏めづらしき秋の初風 よみ人しらず『古今集』 おしなべて物を思はぬ人にさへ心をつくる秋の初風 西行『新古今集』 |
実証的見解 | |
参考文献 |
秋風の吹きわたりけり人の顔 | 鬼貫 「江鮭子」 | ||
あかあかと日は難面も秋の風 | 芭蕉 「奥の細道」 | ||
石山の石より白し秋の風 | 芭蕉 「奥の細道」 | ||
終宵秋風聞くやうらの山 | 曾良 「奥の細道」 | ||
秋風やしらきの弓に弦はらん | 去来 「曠野」 | ||
十団子も小粒になりぬ秋の風 | 許六 「韻塞」 | ||
蔓草や蔓の先なる秋の風 | 太祇 「太祇句選」 | ||
秋風や酒肆に詩うたふ漁者樵者--- | 蕪村 「蕪村句集」 | ||
子の皃に秋かぜ白し天瓜粉 | 召波 「春泥句集」 | ||
秋風の吹き来る方に帰るなり | 前田普羅 「定本普羅句集」 | ||
秋風や模様のちがふ皿二つ | 原石鼎 「花影」 | ||
秋風や生き永らへて艪を漕げる | 長谷川櫂 「蓬莱」 |