子季語 | 稲光、稲の殿、稲の妻、稲の夫、稲つるみ、いなつるび、いなたま |
関連季語 | 雷 |
解説 | 空がひび割れるかのように走る電光のこと。空中の放電現象によるものだが、その大音響 の雷が夏の季語なのに対し、稲妻が秋の季語となっているのは、稲を実らせると信じられ ていたからである。 |
来歴 | 『花火草』(寛永13年、1636年)に所出。 |
文学での言及 | 秋の田の穂の上をてらす稲妻の光のまにもわれや忘るる よみ人しらず『古今集』 はかなしやあれたる宿のうたたねにいなづま通ふ手枕の露 後京極摂敬『六百番歌合』 |
実証的見解 | |
参考文献 |
稲妻を手にとる闇の紙燭かな | 芭蕉 「続虚栗」 | ||
稲妻に悟らぬ人の貴さよ | 芭蕉 「己が光」 | ||
あの雲は稲妻を待つたより哉 | 芭蕉 「陸奥鵆」 | ||
稲妻やかほのところが薄の穂 | 芭蕉 「続猿蓑」 | ||
いなづまや闇の方行五位の声 | 芭蕉 「続猿蓑」 | ||
稲妻や海の面をひらめかす | 芭蕉 「蕉翁句集」 | ||
いなづまや堅田泊りの宵の空 | 蕪村 「蕪村句集」 | ||
いなづまやきのふは東けふは西 | 其角 「曠野」 | ||
稲妻のかきまぜて行く闇夜かな | 去来 「菊の香」 | ||
いなづまや秋きぬと目にさやの紋-- | 立圃 「そらつぶて」 | ||
稲妻に近くて眠り安からず | 夏目漱石 「漱石全集」 | ||
ぼた餅の空を稲妻走りけり | 長谷川櫂 「新年」 |
||