蛤(はまぐり) 三春
子季語 | 蛤鍋、蒸蛤、焼蛤、蛤つゆ |
関連季語 | |
解説 | 蛤は春、身がふっくらと肥え、旬を迎える。二枚の貝は他のものとは決して合わないこと から末永い夫婦の縁の象徴とされ、婚礼や雛の節句などの細工、貝合せなどに用いられ、 平安時代には、薬入れとしても使われた。吸物、蒸し物、蛤鍋、焼蛤として食卓に上る。 桑名の焼蛤、大阪の住吉神社の洲崎の洲蛤が有名。 |
来歴 | 『滑稽雑談』(正徳3年、1713年)に所出。 |
文学での言及 | 今ぞ知る二見の浦の蛤を貝合はせとておほふなりけり 西行『夫木和歌抄』 |
実証的見解 | 蛤は、マルスダレガイ科に分類される二枚貝で、北海道南部から九州にかけて分布する。 大きさは八センチほどで色は白や褐色、灰褐色とさまざま。古くからの食材で、『日本書 紀』にも記述がある。吸い物や、鍋ものの具、酒蒸し、焼き蛤、土瓶蒸し、寿司ねたなど、 幅広い料理で利用されるが、生食には向かない。 |
参考文献 |
尻ふりて蛤ふむや南風 | 涼菟 「喪の名残」 | ||
蛤の芥を吐かする月夜かな | 一茶 「七番日記」 | ||
岩端や焼蛤に浪よする | 闌更 「三傑集」 | ||
蛤の荷よりこぼるるうしおかな-- | 正岡子規 「子規句集」 | ||
蛤を買ひえて空の藍ゆたか | 渡辺水巴 「水巴句集」 | ||
汁椀に大蛤の一つかな | 内藤鳴雪 「鳴雪句集」 | ||
焼蛤や青き松葉の散りかかる | 長谷川櫂 「虚空」 | ||