植物の季語193項目に科学的見解を追加

 下記の植物の季語193項目に、東海大学の藤吉正明先生による科学的見解を追加しました。前回(2015/8/19)分と合わせて330項目になります。読み物としても興味深いので、ぜひご覧になってください。右サイドの「季語検索」から検索してください。

ひょうたんぐさ/いぬのふぐり/おおいぬのふぐり/伊予蜜柑/牡蒿(おとこよもぎ)/搗布/芥菜/クレソン/黒布/三宝柑/シクラメン/春菊/沈丁花/香菫/ネーブル/八朔柑/春椎茸/へご/防風/海松/はこべら/はくべら/うしはこべ/あさしらげ/みきくさ/ミモザ/虎杖/木五倍子の花/薇(ぜんまい)/たらの芽/韮/蒜(にんにく)/野蒜/榛の花/蘖(ひこばえ)/一人静/三椏の花/若紫/分葱/薊/明日葉/アスパラガス/馬酔木の花(あせびのはな)/杏の花/錨草/蚊母樹の花/いすのきのはな/独活/垣通/榧の花/狐薊/熊谷草/さるとりの花/猩々袴/松露/スイートピー/杉の花/紫荊(はなずおう) /花水木/浜大根の花/ヒヤシンス/二人静/松の花/蝮蛇草(まむしぐさ)/まるめろの花/むしかりの花/山桜/藜(あかざ)/アベリア/臼の実/苧(カラムシ)/金魚藻/忍/蓼/時計草/パパイヤ/柾の花(まさきのはな)/ユーカリの木/アカシアの花/榎の花/風車の花/雁皮の花/木苺(きいちご)/胡桃の花(くるみのはな)/紫蘭(しらん)/高砂草/桷の花(ずみのはな)/栃の花/錦木の花/庭石菖/バナナ/ひとつばたご/マロニエの花/水木の花/黐の花(もちのはな)/ゆりの木の花/えごの花/擬宝珠(ぎぼうし)/栗の花/さいかちの花/河骨(こうほね、かうほね)/小判草/すぐりの実/李(すもも)/蝉茸/虫取撫子/山牛蒡の花(やまごぼうのはな)/青柚(あおゆ、あをゆ)/アカンサス/麻/虎杖の花/犬枇杷/ウルップ草/おなもみ/萱草の花(かんぞうのはな)/昆布(こんぶ)/こばいけい草/珊瑚樹の花/朝鮮朝顔/ちんぐるま/パイナップル/はまなす/浜木綿の花(はまゆうのはな)/蛍草(ほたるそう)/山法師の花/棉の花(わたのはな)/秋の七草/尾花/オクラ/自然薯/糸瓜/初茸/木天蓼(またたび)/藪虱(やぶじらみ)/薯蕷(ながいも)/男郎花/貝細工草/山椒の実/麝香草/せんきゆうの花/蓖麻(とうごま)/ぬめり草/鳩麦/富士薊/鬼灯(ほおずき)/藪枯/藪蘭/藜の実/あかざのみ/通草(あけび)/車前(おおばこ、おほばこ)/思草/おもいぐさ/菊芋/小鮒草/千振/釣船草/野葡萄/稗(ひえ)/紅茸/木瓜の実(ぼけのみ)/めなもみ/山葡萄/吾亦紅/一位の実/岩茸/万年青の実(おもとのみ)/オリーブの実/がまずみの実/けんぽなし/珊瑚樹/占地/酢橘/橡の実(とちのみ)/楢の実/錦木(にしきぎ)/隼人瓜/菱の実(ひしのみ)/鵯上戸/藤の実/朴の実/無患子/辣韮の花/落花生/榎茸/カトレア/セロリ/滑子/冬蔦/寒葵/石蕗の花(つわのはな/冬葵/八手の花(やつでのはな)/クリスマスローズ/蝦蛄葉仙人掌(しゃこばさぼてん)/ポインセチア/葉牡丹/臘梅(ろうばい/御行/榧(かや)/野老(ところ)/仏の座(ほとけのざ)

【引用及び参考文献】

岩槻邦男 他 1997 朝日百科 植物の世界 全15巻 朝日新聞社
佐竹義輔・原寛・亘理俊次・冨成忠夫 1999 日本の野生植物 木本Ⅰ・Ⅱ 新装改訂版 平凡社
佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎・亘理俊次・冨成忠夫 1999 日本の野生植物 草本Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ 新装改訂版 平凡社
岩槻邦男 1999 日本の野生植物 シダ 新装改訂版 平凡社
八巻孝夫 2003 食材図典 生鮮食材編 小学館
鈴木基夫・横井政人 1998 山渓カラー名鑑 園芸植物 山と渓谷社
本郷次雄 1994 山渓フィールドブックス きのこ 山と渓谷社
高橋勝雄 2002 山渓名前図鑑 野草の名前 春 山と渓谷社
高橋勝雄 2003 山渓名前図鑑 野草の名前 夏・秋冬 山と渓谷社
清水矩宏・森田弘彦・廣田伸七 2001 日本帰化植物写真図鑑 全国農村教育協会
瀬川宗吉 1977 原色日本海藻図鑑 保育社
吉村庸 1974 原色日本地衣植物図鑑 保育社
清水建美 2001 図説 植物用語事典 八坂書房
新村 出 1998 広辞苑 第五版 岩波書店
牧野 富太郎 2000 新訂 牧野 新日本植物図鑑 北隆館
邑田 仁 2014 APG牧野植物図鑑Ⅰ 北隆館
邑田 仁 2015 APG牧野植物図鑑Ⅱ 北隆館

第7回 きごさい講座+句会 報告

DSC_5348DSC_53447月3日(日) 神奈川近代文学館で「第7回きごさい講座+句会」が開かれた。
学校俳句研究会幹事長、千代田区立千代田小学校教諭である山本新先生の「家族で楽しむ俳句 感性豊かな子どもを育む俳句―三つの扉」は、まず、自らの俳句体験から始まった。徐々に興味を持った家族全員で俳句を楽しんで、毎日俳句大賞やおーいお茶などのコンテストに親子で入選を果たすエピーソドには、会場からも「すごいね!」の声。俳句を子どもたちに楽しみながら教えることの実践を、すでに家庭内で試みて成果まで出した山本先生の俳句教育の情熱が伝わった。
教育現場でも、俳句を学び、作ることを通じて①日本語力②発見力③ひらめき力を育てる大きな効果があることは浸透しつつある。さらに、自然を、風習を、文化を、人を、美しいものを大切にする心を、俳句は確実に育んでくれる。俳句が取り上げられている実際の教科書の部分を、学年別に(3~6年生)示しながら、四季折々のことばや例句による日本語の響きを覚えていくプロセスを語った。
平成22年から学習指導要領に俳句の実作が義務付けられ、全ての教科書がその方向に従って記述、編集されている。しかし、クラス全員が、楽しく俳句をつくれる授業をすることは簡単ではなく、各所で出張モデル授業を実施している日本学校俳句研究会の役割もそこにある。
後半は、授業における俳句教育の具体的な方法論を展開。客席を三つに分けて、上五、中七、下五担当のそれぞれの短冊に好きな言葉を書き込み、組み合わせて、読み上げる。その結果、驚きの取り合せ、究極のナンセンス、偶然の傑作・・・が出る、その度に笑う会場。五七五に慣れるための三人俳句は、授業でも効果的な手段だという。他に五七五リレー遊び、日記俳句、作文俳句、写真俳句、俳句絵手紙、俳句と写真のスライドショー・・・ハードルを低くして、俳句と遊ぶ方法を次々と提示した。
最後によい子どもの俳句とは、リズムがよい、その子らしさが出ている、その子の発見がある、様子がよく見える、気持ちが感じられる・・・こと。現在は、夏休みの宿題に、俳句を作りが出される学校が増えている。
山本新先生の講演は、教育現場に立っている人ならではの、実感のある内容や教室の様子まで感じられて、教えられることが多く、何よりも教える側の情熱が伝わってきました。

その後、参加者全員で句会を開催。五句出、五句選。選者は、長谷川櫂季語歳代表と山本新先生。
句会後、長谷川×山本、お二人のトークの時間を設け、学校俳句に関する代表の問にひとつひとつ山本先生が説明をしていった。季語歳と研究会が一緒になって作った『こども歳時記』(小学館刊)は、教室でよく活用されている。長谷川代表の「現場の先生から俳句授業で一番多い質問は何か?」の問いかけには「子ども俳句のよい俳句の基準が、分からない」と先生方は悩んでいるという。また「小学校の先生の適正として最も重要な事は?」に対して「子どもたちと共に喜び、驚き、共感できる資質」と答えられたことが印象に残った。(レポート:西川 遊歩・写真提供:阿部郁恵)

<句会報告  選者=山本新、長谷川櫂>
◆ 山本新 選
特選
なにかにと言うて詮なき団扇かな  小早川東子
すうと来てひとめぐりして鬼蜻蜒  藤野侃
なるべくは大きな盥星映し  石川桃瑪
入選
みづからの炎に灼かれゆく薔薇よ  長谷川櫂
鈴かけの鈴あをあをと青葉騒  阿部郁恵
人文字で描く希望や夏の空  小山正見
アガパンサスアメリカ山の雨あがる  阿部郁恵
大好きな先生と覗く金魚かな  飛岡光枝
マンモスの記憶は遥か半夏雨  小山正見
氷室より切り出してこの一句かな  飛岡光枝
沖縄の空は真青や仏桑花  木下洋子

◆ 長谷川櫂 選
特選
俳諧に三つの扉燕の子  三玉一郎
情熱は涼し俳句の講義聴く   阿部郁恵
教科書で初めて知つた雲の峰  小山正見
香水やローマ落日かくありて  鈴木伊豆山
扉開け光のシャワー浴びる夏  葛西美津子
入選
炎昼のトロンボーンに深き穴  山本新
レース編む話しかけられても無言  石川桃瑪
なにかにと言うて詮なき団扇かな  小早川東子
誰だつて父母のいとし子天花粉  趙栄順
ペリカンの嘴のやうなる百合の莟  西川遊歩
君にある自由の大地夏休み  趙栄順
すうと来てひとめぐりして鬼蜻蜒  藤野侃
大好きな先生と覗く金魚かな  飛岡光枝
夏休み宿題はまづ俳句から  葛西美津子
ゆれながら眠りに落ちる未草  飛岡光枝
建築の人ら見に来る夏館  西川遊歩
水たまり残して梅雨の終はるころ  山本新
氷室より切り出してこの一句かな  飛岡光枝

恋の俳句大賞、締め切り迫る

恋の俳句大賞、2016年後期の締め切りが迫りました。ふるってご応募ください。大賞作品はハウステンボス(長崎県)の「桜の園」にプレートを設置します。

【前期】1月末日締め切り、バレンタインデーまでに発表。
【後期】7月末日締め切り、旧暦の七夕までに発表。
【選者】趙栄順(チョ・ヨンスン)、長谷川 櫂
【投句】きごさいのホームページから。投句料は無料、何句でも応募できます。

7月の「きごさい講座+」のテーマは「家族で楽しむ俳句 」!

第7回きごさい講座+句会
日 時: 2016年7月3日(日)13:30~16:30(13:10開場)
13:30~14:30 講座 
14:45     投句締切(当季雑詠5句)
14:45~16:30 句会

会 場: 神奈川近代文学館(港の見える丘公園) 中会議室
〒231-0862 横浜市中区山手町110 TEL045-622-6666
みなとみらい線「元町・中華街駅」下車、6番出口から徒歩10分
http://www.kanabun.or.jp/guidance/access/

演 題 :  家族で楽しむ俳句  感性豊かな子どもを育む俳句 ~三つの扉~
 日本は四季の国です。古来、人々は四季の変化の中で暮らしの営みを紡ぎ、また四季折々の自然に触れて生活を豊かにしてきました。
 しかし残念ながら、暮らしが便利になるのに伴って、季節感は、自然は少しずつ遠のいているように感じます。
 俳句を始めると、ぐんと自然が近づいてきます。四季の変化に敏感になります。美しい光景に心を動かしたり、地域の文化に関心を持ったりするようになります。
 学校や家庭で子ども達が俳句を楽しむことは、自然や文化の再発見の糸口となるように思います。それは言いかえれば、子ども達に豊かな感性を育み、自分の身の周りの物事や人々を大切にする心を育てることです。

講 師:  山本新(やまもとあらた)
東京都公立小学校教員。現在5年生担任
学校での俳句の指導法を学びあう「日本学校俳句研究会」(代表:小山正見)幹事長
俳誌「梓」会員

句 会:  当季雑詠5句 (選者=山本新、長谷川櫂)

参加費: きごさい正会員1,000円、非会員2,000円
できれば、電話、ファクシミリ、またはきごさいホームページの申し込み欄からお申し込みください。もちろん申し込みなしでの当日参加もできます。きごさい事務局  TEL&FAX 0256-64-8333  

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次回の予定  第8回きごさい講座+句会
日 時: 10月2日(日)13:30~16:30(13:10開場)
会 場: 神奈川近代文学館 中会議室
講 座: タイトル:未定 (講師=高橋順子 詩人)
句 会: 当季雑詠5句(選者=高橋順子、長谷川櫂)

ハウステンボスにて「薔薇の詩碑」21本を設置と「恋の俳句大賞」表彰式を実施

baranoibento5月10日、長崎県佐世保市のハウステンボス(以下HTB)のアートガーデンで、季語と歳時記の会(以下、季語歳)が21の「薔薇の詩碑」を設置するセレモニーが行われた。過去3年、HTB内に山桜の植樹を行ってきたが、新たな企画としてばら祭り開催中のアートガーデンに、古今東西の「薔薇の詩歌」を選び、詩碑を設置することを季語歳からHTBに提案して、実現した。
薔薇の多くの種類を集めて大人気のHTBの薔薇の園に、薔薇の詩碑を立てる。うつくしい薔薇を鑑賞しながら、薔薇の詩歌を読んで、さらに深く薔薇の花を感じる!という試みである。
午前10時より、セレモニーは開始された。前例のない企画にもかかわらず、いつもより、メディアの取材者の数が多い。ひと月前の熊本地震の影響が心配される九州の観光の活性化に微力ながら力になれることを願う。長谷川櫂代表が、季語歳の季節文化の発信と薔薇の詩碑の意義について語り、HTBの高木潔専務が、詩歌と薔薇の相乗効果で薔薇園の価値が高まる、とお礼の挨拶をされた。さらに、朝長緑化建設の山下武夫氏が「私は文学の素養はないが、いただいた詩碑のリストを読み込んで、それぞれの詩碑の最もふさわしい場所を探して、設置する努力をした」とスピーチをして、拍手をあびた。
次にHTB歌劇団の椿れいらさんが、公演中の王女の衣装で登場。よく通る声で、感情豊かに薔薇の詩歌を次々に朗読して、会場を盛り上げた。「薔薇の詩歌を声に出して読むと、さらに薔薇のイメージが広がります」と長谷川代表が、コメント。白秋の詩碑を、季語歳代表とHTB専務が設置する儀式を行い、フラッシュを浴びてセレモニーは終了した。
 引き続き、季語歳「恋の俳句大賞」の選者の趙英順さんが舞台に立ち、恋の俳句大賞の目的と選考について語った後、第四回の大賞受賞者の篠原隆子さんに、表彰状を授与した。第三回、第四回の大賞句のプレートは前年に引き続き園内に建てられた。

第三回大賞 初恋の真つ只中や扇風機   森 篤史
第四回大賞 君を知りきのふの恋を卒業す 篠原隆子

HTBの見学ツアーと薔薇の句会
HTBのスタッフの方が、薔薇の園をはじめとして、園内を効率よく案内をしてくださった。宮殿の美術館では、ボタニカル・アートの展示が行われていて、シーボルトの『日本植物誌』(フローラ・ヤポニカ)の本物やマリー・アントワネットやジョセフィーヌに仕えた薔薇の画家・ルドーウテの作品、さらに「フローラの神殿」などの有名作品多数、ナポレオンのエジプト遠征にも、プラントハンターが同行し、前述のルドウ―テなどが同行していたこともその展示で知った。
宿泊は話題のロボットホテル「変なホテル」、地産地消の健康レストラン「AURA」、光の滝など、HTBのこの一年間に進化した施設を視察、体験した。
午後1時からは、窓から薔薇園を一望できる部屋で、薔薇の句会を開催。地元長崎と福岡から参加された方々も加わり、五句出し五句選を二座行った。(報告:西川遊歩)

薔薇の句会  長谷川櫂選

【一座目】
特選
風に触れ雨に触れては薔薇錆びる    栄順
大輪の観覧車回る薔薇の空       遊歩
蔓ばらの花咲き上れ黒き雲       光枝

入選
雨粒の琳琅として薔薇の空       隆子
時祷書に咲くや黄金の薔薇の花     隆子
万の薔薇咲き廻りゆく地球かな     真知子
ほのぼのと汀女の句碑や薔薇の中    遊歩
一の字に薔薇を咥へて踊り出し     隆子
なつかしき人となりたる桜かな     栄順
いにしへの薔薇と呼ばれて香り立つ   隆子
薔薇の雨に冷えてやホットチョコレート 光枝
カラフルな雨傘の列薔薇の径      遊歩

【二座目】
特選
この夜の薔薇の奈落に眠りけり     光枝

入選
恵那峡の鮎に始まる旅となり      弘美
薔薇の雨薔薇の肥やしの積み置かれ   遊歩
トラックの荷台にあふれ薔薇の花    光枝
一輪の薔薇滴りて詩となりき      栄順

ハウステンボスで《薔薇のイベント》を開催します

5月10日(火)、長崎県のハウステンボスにおいて薔薇のイベントを実施致します。季語と歳時記の会が選んだ薔薇の詩碑21本と恋の俳句大賞作品2句のプレートを設置。同日、長谷川櫂代表の選による「薔薇の句会」を行います。句会参加の方は時間までに会場へお集まりください。

【恋の俳句大賞作品】
初恋の真つ只中や扇風機     森 篤史(第3回)
君を知りきのふの恋を卒業す   篠原隆子(第4回)

5月10日(火)
10:00-10:30 薔薇の詩碑&恋の俳句大賞作品プレート設置セレモニー
13:00-15:00 薔薇の句会

【会場】ハウステンボス内「タワーシティ」3階、第6会議室(ドムトールン下)
(塔の3Fへエスカレーターで上がる)
【出句】第一座 5句出句 第二座 3句出句 (予定)
・句会費は無料ですが、ハウステンボスの入場券は各自お支払いください。

「プラントハンターの旅」 きごさい講座+句会 報告

4月17日(日) 神奈川近代文学館で「第6回きごさい講座+句会」が開かれました。
講座のテーマは「プラントハンターの旅」、講師は西川遊歩さん(トラベルジャーナリスト、大岡信研究会代表)。
西川遊歩さんは海外ガイドブック「地球の歩き方」の創刊メンバーのおひとりで、旅の達人。大学4年の時に横浜大桟橋からナホトカ号でヨーロッパへ旅立ったのが冒険旅行の始まりとか。現代のキャプテン・クックともいうべき西川さんの熱のこもったお話を聞きました。

<講座レポート>
〇プラントハンターとは?
プラントハンターとは有用な植物を海外で見つけ出し、移入する人とのことで、「王立キューガーデン」抜きには語れません。イギリスの「王立キューガーデン」は、他国に先駆けて18世紀より、プラントハンターを世界に送り出していました。そこにはヨーロッパにおける園芸への情熱があり、その根底には薬や食物としての未知の植物へのあこがれがありました。そしてそれを成功させたのは各時代のプラントハンターたちの魅力的な人柄だったのです。

〇ジョセフ・バンクスと英国王立キューガーデン
バンクス(1743-1820)は、王立キューガーデンの運営責任者&ロイヤル・アカデミーの会長であり、莫大な遺産を相続した資産家でした。動植物学への貢献が大きく、大英帝国の威信と拡大を常に意識して行動していました。バンクスはキャプテン・クックほど有名ではありませんがどこか惹かれるところのある人物です。

〇キャプテン・クック(1728-1779)の探検大航海
クックは51年の生涯に3回の探検航海を行いました。バンクスはこのうち第一回航海に同行し、オセアニアやタヒチなどの植物探索の成果は今も大英博物館に残っています。第一回航海で無事帰国できたのは94人中41人と過酷な航海でありながら、その後、第二回、第三回航海と続けます。西川さんからはこの時代の過酷な航海を成功させたクックのマネージャーとしての資質についても言及があり興味をひかれました。半分以上生きて帰れない航海と知りながら集まる探検家とそれを束ねるクック。そこにどんな物語があったのかは西川さんの別の機会のご講演を期待します。クック船長は1779年この航海の途中、ハワイ島で現地人によって撲殺されてしまいます。

〇商館医シーボルトは、プラントハンターだった
シーボルト(1796-1866)の日本滞在は1824-1829年(第一回)と1863-1866(第二回)です。シーボルトは来日前医学を学び、医学部のカリキュラムの自然科学、地理学、民俗学にも強い関心を示しています。医者も植物について学ぶことが必須だったのです。国家からシーボルトに与えられた使命は出島での日蘭貿易をさらに発展させるための日本に関する情報収集でした。出島でスタートしたシーボルトの講義は鳴滝塾開塾を皮切りに医学と治療、弟子の養成に力を注ぎプランタハンター成功の鍵となる人的ネットワークが構築されていくことになります。ここまで聞くとやはりシーボルトのマネージメント能力の高さを思います。行動を制限されていたシーボルトはネットワークが鍵となることを見越して着々とその準備をしていたのです。弟子の美馬順三らには動植物のコレクション収集、民族学関係のコレクション収集等の調査をさせ、調査結果をオランダ語の論文として提出させています。

〇江戸参府への参加(1826年2月15日―7月7日)
シーボルトの飽くなき探究心は長崎を飛び出し、江戸参府にも参加しています(1826年2月15日―7月7日)。江戸参府はこの時代4年に1度行われていました。長崎以外の日本を見る絶好のチャンスであり、長崎―江戸間の片道に約2ヶ月かけ門人の協力を得て情報収集および植物採集を行いました。

阿蘭陀も花に来にけり馬に鞍 芭蕉
「阿蘭陀渡る(キャプテン渡る)」がこのような歴史背景をもとに春の季語であるとの説明があり、この後の句会ではこの季語を使った句が多く出句されました。(三玉一郎 記)

<句会報告  選者=西川遊歩、長谷川櫂>
◆ 西川遊歩 選
特選
富士白く阿蘭陀わたる日なりけり   長谷川櫂
おたくさは紫陽花のこと金平糖  大平佳余子
行く春や阿蘭陀行列ゆらゆらと  葛西美津子
入選
惜春の末広がりの出島かな  大平佳余子
阿蘭陀の真白き富士の裾通る  長谷川櫂
花白き阿蘭陀渡りの苺かな  大平佳余子
桜菓子ほろと崩れてふぶきけり  鈴木伊豆山
阿蘭陀も茶摘の唄の中とほる  長谷川櫂
象の花子阿蘭陀渉る夢のなか  飛岡光枝
春の地震我ら地表の居候  北島正和

◆ 長谷川櫂 選
特選
薔薇積んで船は嵐の只中へ  飛岡光枝
茶屋船のるそんあんなん柏餅  鈴木伊豆山
明易の波音大航海の夢  葛西美津子
入選
帆を上げて阿蘭陀わたる瀬戸は春  西川遊歩
花白き阿蘭陀渡りの苺かな  大平佳余子
おたくさは紫陽花のこと金平糖  大平佳余子

東京江東区で山桜植樹記念祭が行われました

CIMG2643CIMG2653 日本のあちらこちらで桜開花の声が聞こえる3月27日、江東区長、江東区芭蕉記念館館長列席のもと、山桜植樹記念祭がとり行われました。江東区役所の正面の人通りが多い絶好の場所に山桜三本を植樹、芭蕉の句「さまざまのこと思ひ出す櫻哉」のプレートが設置されました。桜の前には祭壇が設けられ深川の富岡八幡宮宮司さんによりうやうやしく祝詞が唱えられました。今回の植樹会の実行委員長であり、長年江東区を中心に学校俳句教育に力を注いできた小山正見「季語と歳時記の会」副代表により「芭蕉ゆかりの地、俳句の町江東区に芭蕉が愛でた山桜を植樹することはたいへん意味があること」と挨拶がありました。
 記念イベントでは新作狂言「転生」が演じられ、長谷川櫂代表による「芭蕉と江東区」と題した講演が行われました。「芭蕉が心の世界を詠んだ「古池」の句が生まれたのは江東区(深川)、芭蕉が江東区に住まなければ、今我々が知っている芭蕉は誕生しなかった」。
 植樹した若木は来年にも花を付ける可能性があるとのこと。三本並んで咲いている山桜が目に浮かびます。(報告:飛岡光枝)

「歳時記学」第8号が完成しました

saijikigaku08今号では「宇宙性俳句」を特集しました。蛇笏賞俳人で「虫の夜の星空に浮く地球かな」などの代表句を持つ、哲学者・浄土真宗僧侶でもある大峯あきらさんと、代表句「水の地球すこしはなれて春の月」を収めた句集『静かな水』で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞した俳人の正木ゆう子さんに、俳句の宇宙性とは何かについて論じていただきました。また編集部では江戸から現代までの俳諧・俳句の中から「宇宙性百句」を選び、俳句の宇宙性について論じ合い、「誌上座談会」として載せました。どうぞご覧ください。
 購読を希望される方は、右サイドの「きごさいショップ」からお申し込みください。価格は1500円(税込み、送料なし)。(藤)

4月の「きごさい講座+」はシーボルトがテーマ !

第6回きごさい講座+句会
日 時: 2016年4月17日(日)13:30~16:30(13:10開場)
13:30~14:30 講座 
14:45     投句締切(当季雑詠5句)
14:45~16:30 句会

会 場: 神奈川近代文学館(港の見える丘公園) 中会議室
〒231-0862 横浜市中区山手町110 TEL045-622-6666
みなとみらい線「元町・中華街駅」下車、6番出口から徒歩10分
http://www.kanabun.or.jp/guidance/access/

演 題 :  シーボルトと日本の植物に魅せられた人たち ― プラントハンターの旅 ―
 出島の商館付医として長崎に着任したシーボルトは、鳴滝塾を開き、医師として多くの優れた弟子を育てました。しかし、シーボルトの日本滞在における仕事で、熱心に力を注いだのは、日本の植物収集(プラントハンティング)でした。最も有名なシーボルト縁の花は、妻のお滝の名が残るアジサイですが、他にも多くの植物を採集、図鑑まで発刊しています。彼の活動のすべてが、当時のヨーロッパへの日本紹介に大きな貢献をしました。シーボルトのドラマティックな旅を紹介する共に、その後、日本にやってきた各国のプラントハンターたちの冒険の旅についても触れたいと思います。人と花と旅についての興味深いトークの一時間です。
阿蘭陀も花に来にけり鞍に花 芭蕉
芭蕉の揚句もキーワードとして登場します。講座後の句会の題材に頭をめぐらしながら、お聞きください。

講 師:  西川遊歩(にしかわゆうほ)
海外ガイドブック『地球の歩き方』の創刊メンバーのひとり。編集長、代表を経て、現在は、トラベル・ジャーナリスト。海外旅行市場の動向やデスティネーション開発に関心をもつ。「季語と歳時記の会」副代表、大岡信研究会会長(西川敏晴名)、トラベル懇話会会員、各国観光局のアドバイザーなど。
*ちょっと宣伝=岩波書店が、戦後70年の記念出版として『ひとびとの精神史』(全9巻)を発刊中。このシリーズは、市井の人々が暮らしを通じて約100人の有名、無名の人物を通じて描く戦後の歩み。2月下旬に発売された「第7巻 終焉する昭和・1980年代」に、国際化とナショナリズムの章に宮崎駿氏と並んで「地球の歩き方創刊メンバー」が選ばれ、日本型海外旅行の精神をテーマに論評されています。

句 会:  当季雑詠5句 (選者=西川遊歩、長谷川櫂)

参加費: きごさい正会員1,000円、非会員2,000円
できれば、電話、ファクシミリ、またはきごさいホームページの申し込み欄からお申し込みください。もちろん申し込みなしでの当日参加もできます。きごさい事務局  TEL&FAX 0256-64-8333  

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次回の予定  第7回きごさい講座+句会
日 時: 7月3日(日)13:30~16:30(13:10開場)
会 場: 神奈川近代文学館 中会議室
講 座: 家族で楽しむ俳句 ~七つの扉~ (講師=山本新、日本学校俳句研究会幹事長)
句 会: 当季雑詠5句(選者=山本新、長谷川櫂)