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第9回「きごさい講座+」は「詩のなかに咲く薔薇」

日時:2017年1月22日(日)13:30〜16:30(13:10開場)
会場:神奈川近代文学館、中会議室(港の見える丘公園)
みなとみらい線「元町・中華街駅」下車、6番出口から徒歩10分
http://www.kanabun.or.jp/guidance/access/
講師:渡辺竜樹(わたなべたつき) 
1976年愛知県生まれ。明治大学文学部文学科フランス文学専攻卒業。フランス近現代詩のみならず日本の詩歌全般に関心を持つ。2010年第5回飴山實俳句賞受賞。俳句結社「古志」同人。季語と歳時記の会会員。大岡信研究会会員。
句会:参加は自由、当季雑詠5句、選者=渡辺竜樹、長谷川櫂
参加費:きごさい正会員1,000円、非会員2,000円

高橋順子さん「風の名前」について語る

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10月2日、久しぶりの秋晴れの日曜日、神奈川近代文学館に於いて、きごさい講座+句会が開かれた。
 講師に詩人の高橋順子さんをお迎えし、「風の名前」をテーマにお話をいただいた。
 高橋順子さんは古志とは浅からぬ縁のある方で、30年程前に一ツ橋句会と称して長谷川櫂を主宰とする10名ほどの句会が、月一度持たれ、そこで高橋さんも大いに句作に励まれた由。古志の萌芽の時代を知る方である。

 今回のテーマの「風の名前」は、高橋さんの御著書のタイトルでもある。高橋さんには、「雨の名前」「花の名前」「月の名前」「恋の名前」などのシリーズがあり、いずれも様々な名前の由来に写真、エッセイ、自作の詩を付けられた、言わば詩的なエッセイとでも呼びたい本である。
 
 日本は四方を海に囲まれた島国である。自然の影響を強く受ける国ゆえ、古来より自然現象についての言葉が豊かで、風に関しても、時期、強弱、色合いと、きめ細やかに表現されている。その名、数にして2千以上という。それは、自然災害の多いこの国の言葉の知恵であったかもしれない。
 日本で最も古い風の名前は「あいの風」。「あいの風」は「あゆの風」ともいい、日本海から沿岸に吹く夏の涼やかな海風。魚介類を浜辺に寄せてくる風でもある。
万葉集に大伴家持の次の歌がある。

あゆの風いたく吹くらし奈呉の海人の釣する小舟漕ぎ隠る見ゆ  大伴家持

数年前の夏、福井県の東尋坊を訪れたとき、涼しく心地よい風が吹いていた。地元で「あいの風」と呼んでいると知り、これが大伴家持も吹かれた風、と思ってうれしかった、と高橋さんは微笑まれた。そして、風の古語を紐解かれ、さまざまな風の名前を披露してくださった。

句会後のフリートークでは、昨年亡くなられたお連れ合いで小説家の車谷長吉氏との思い出を話してくださった。お住まいのある千駄木にちなみ駄木(だぼく)句会と名付け、夫婦二人の句会を楽しまれた由。小説家の前は料理人をされていた車谷氏の作るお雑煮のお話も楽しく聴かせていただいた。
 句会後の高橋さんのご感想。
「みなさん、この短時間に風の名句を沢山作ってくださったことに驚きました」
高橋順子さん、素敵な風のお話をありがとうございました。(趙 栄順 記)

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<句会報告  選者=高橋順子 長谷川櫂>
◆ 高橋順子 選
特選
金斗雲と呼べば飛びくる栗きんとん  長谷川櫂
ひるがへり風の川ゆく一葉かな  葛西美津子
しつしつと秋の日降るや異人墓地  五月女政夫

入選
葉の上に書かれし経文菊供養  松田欣末子
露笑みて風ささやきて芋太る  藤野侃
とりどりの風の吹きくる秋扇  飛岡光枝
鉦叩村中の窓たたきけり  三玉一郎
ハロウィンのどの顔となる南瓜かな  片山ひろし
火の鍋や金の風吹く中華街  西川遊歩

◆ 長谷川櫂 選
特選
ひるがへり風の川ゆく一葉かな  葛西美津子
良き風に歌を合はせん宗鑑忌  岩﨑ひとみ
一兵の塗炭しのばん茱萸赤し  園田靖彦
風の名をみな知つてゐる花芒  井上じろ
新蕎麦ややませの吹きし故郷より  葛西美津子

入選
屁は風の仲間であらう秋句会  藤野侃
秋風が見える港の見える丘  趙栄順
庇まで薪つむ人秋の暮  五月女政夫
書いてすぐ忘るる漢字秋の風  片山ひろし
極楽のあまり風の中端居かな  川村玲子
恋をせぬ国おそろしや破芭蕉  西川遊歩
とりどりの風の吹きくる秋扇  飛岡光枝
凪のまに風は秋へと衣更  神谷宣行
なにはなくとも新米の塩むすび  片山ひろし
鉦叩こころの鉦を叩きをり  趙栄順
庇うつ音や椎の実櫟の実  鈴木伊豆山
くびれなき瓢も吹かれふくべ棚  飛岡光枝
風を待つ草ばかりなり秋の庭  北島正和
すぐそこの母の家へと露の中  川村玲子
埋れゐしことば掘り出す豊の秋  西川遊歩
極楽の余り風くる秋昼寝  飛岡光枝
火の鍋や金の風吹く中華街  西川遊歩
九十九里にくぢらも揚がるいなさかな  三玉一郎

◆ 選者の一句
赤とんぼおのが名を知つていさうなり  高橋順子
金斗雲と呼べば飛びくる栗きんとん   長谷川櫂

秋の「きごさい+」は高橋順子さんの「風の名前」

秋の「きごさい講座+句会」の講師は詩人の高橋順子さんです。高橋さんは『高橋順子自筆句集五十句』(沖積舎)を出されたばかり。ふるってご参加ください。

susuki日時:2016年10月2日(日)13:30〜16:30(13:10開場)
会場:神奈川近代文学館、中会議室(港の見える丘公園)〒231-0862 横浜市中区山手町110 TEL045-622-6666 みなとみらい線「元町・中華街駅」下車、6番出口から徒歩10分 http://www.kanabun.or.jp/guidance/access/

講座:13:30~14:30  
演題:風の名前
講師:高橋順子(たかはしじゅんこ)詩人。1944年千葉県生まれ。東京大学仏文卒。著書に詩集『時の雨』(読売文学賞)、『お遍路』、『あさって歯医者さんに行こう』、『海へ』(藤村記念歴程賞、三好達治賞)、短編集『海へびのぬけがら』、エッセイ集『一茶の連句』、『水のなまえ』、佐藤秀明写真による『雨の名前』、『風の名前』、『花の名前』、『月の名前』、『恋の名前』など。
講師の一言:季語に採用されている他に、日本には2000以上もの風の名前が伝わっています。私は以前写真家とともに『風の名前』という本を上梓しました。じっさいに吹かれた風は寥々たるものですが、国語辞典などに当たって調べてみると、興味深いものがありました。風についての言い伝えや、うたを味わってみたいと思います。(髙橋順子)
     
句会:14:45~16:30(参加は自由、14:45投句締切、当季雑詠5句、選者=高橋順子、長谷川櫂)

参加費:きごさい正会員1,000円、非会員2,000円
申し込み:きごさいホームページの申し込み欄から、あるいはきごさい事務局に電話、ファクシミリでお申し込みください。TEL&FAX 0256-64-8333。申し込みなしの当日参加もできます。

第5回恋の俳句大賞は岡崎陽市さん

第5回恋の俳句大賞は岡崎陽市さん虹の句に決定いたしました。大賞作品はこれまでどおりハウステンボス(長崎県)の園内にプレートにして展示します。投句総数は418句。第6回の応募締め切りは1月31日です。

【大賞】
虹たちて恋びとたちの地球かな  岡崎陽市

*選評
 地球上のいろんな場所に立つ虹と恋人たちが見えてくる。いまさまざまな問題を抱えている地球。それでも地球はこんな星なんだ、こんな星であって欲しいという願いが一句になった。希望をもちつづけることこそが希望。(長谷川櫂)
 虹がたちシャガールの恋人たちのような絵が生まれる。夢のある恋の句(趙栄順)

長谷川櫂選
【特選】
虹たちて恋びとたちの地球かな  岡崎陽市
とりあえず暑い暑いと恋はじめ  野上卓
みつ豆や君には君の好きな人  イーブン美奈子
約束がゆつくり歩くはだしかな  三玉一郎
好きだったことは後悔しない 夏  小島寿々
【入選】
この恋も初めての恋さくらんぼ  川辺酸模
見せたうて水着を買うて来たんやで  藤田貞利
なつかしや恋路の果ての日なたぼこ  瀧澤久子
出目金魚一匹連れて告白す  前田みづえ
恋秘めてキャンプファイヤー囲みけり  岡崎陽市
長すぎた春の終りを告げる鐘  光畑勝弘
蛍の帰してくれぬふたりかな  三玉一郎
落ちてみる真夏の恋の落とし穴  藤森荘吉
君となら素顔のままで鳳仙花  斉藤真知子
振られてはまた恋をして苺食う  鎌田彩海
遠花火逢いたい人は一人だけ  城内幸江
不意にくる夕立君の傘にいり   藤田ゆりか
恋の浜敵も味方もサングラス  稲垣雄二

趙栄順選
【特選】
恋心あれば鳴るはず草の笛  武田百合
*恋人のふく草笛はまるで恋を語るよう。何とかして鳴らしたい男心。
虹たちて恋びとたちの地球かな
*虹がたちシャガールの恋人たちのような絵が生まれる。夢のある恋の句。
夢の世の恋に揺るるや草の花  川辺酸模
*現世では叶わなかった恋。草の花となって揺れている。
恋の浜敵も味方もサングラス  稲垣雄二
*夏の浜辺は恋のさや当てが盛ん。サングラスがユーモラス。
うたた寝て恋の水母に刺されけり  川辺酸模
*恋の始まりはいつも唐突。うたた寝をしている場合じゃない。
【入選】
初めてのキス風花の味がした  夏井通江
恋なくば空しき浮世茄子の花  川辺酸模
虹が出て 相合傘と さようなら  比屋根ありさ
君の部屋金魚になりて息ひそめ  小島寿々
少しずつ恋が溶けてく日永かな  小島寿々
したたかに恋にやつれて冷素麺  武田百合
君に会ひ恋するために生まれけり  木下洋子
桑の実や夫は農夫の手もて抱く  夏井通江
恋失せて天下泰平昼寝かな  川辺酸模

第5回「恋の俳句大賞」締め切りました

今回は418句の応募がありました。近いうちに結果を発表いたします。大賞作品はプレートに刻んでハウステンボス(長崎県)に立てます。

恋の俳句大賞は年2回、次のとおり実施します。
【前期】1月末日締め切り、バレンタインデーまでに発表。
【後期】7月末日締め切り、旧暦の七夕までに発表。
【選者】趙栄順(チョ・ヨンスン)、長谷川 櫂
【投句】いつでも受け付けています。下の欄に必要事項を記入して投句してください。投句料は無料、何句でも応募できます。

『高橋順子自筆句集五十句』

IMG_2305詩人、高橋順子さんの『自筆句集五十句』(沖積舎)が出版されました。高橋さんは現代を代表する詩人ですが、俳人でもあります。この句集には夫の故人車谷長吉さんと詠んだ句(また、を詠んだ句)を含め、毛筆の五十句が収めてあります。

駄目な人だめな女と金魚玉  順子

*

高橋順子さんには、きごさい主催「第8回きごさい講座+句会」の講師をお願いしております。

日 時: 10月2日(日)13:30~16:30(13:10開場)
会 場: 神奈川近代文学館 中会議室
講 座: タイトル:未定 (講師=高橋順子 詩人)
句 会: 当季雑詠5句(選者=高橋順子、長谷川櫂)

植物の季語193項目に科学的見解を追加

 下記の植物の季語193項目に、東海大学の藤吉正明先生による科学的見解を追加しました。前回(2015/8/19)分と合わせて330項目になります。読み物としても興味深いので、ぜひご覧になってください。右サイドの「季語検索」から検索してください。

ひょうたんぐさ/いぬのふぐり/おおいぬのふぐり/伊予蜜柑/牡蒿(おとこよもぎ)/搗布/芥菜/クレソン/黒布/三宝柑/シクラメン/春菊/沈丁花/香菫/ネーブル/八朔柑/春椎茸/へご/防風/海松/はこべら/はくべら/うしはこべ/あさしらげ/みきくさ/ミモザ/虎杖/木五倍子の花/薇(ぜんまい)/たらの芽/韮/蒜(にんにく)/野蒜/榛の花/蘖(ひこばえ)/一人静/三椏の花/若紫/分葱/薊/明日葉/アスパラガス/馬酔木の花(あせびのはな)/杏の花/錨草/蚊母樹の花/いすのきのはな/独活/垣通/榧の花/狐薊/熊谷草/さるとりの花/猩々袴/松露/スイートピー/杉の花/紫荊(はなずおう) /花水木/浜大根の花/ヒヤシンス/二人静/松の花/蝮蛇草(まむしぐさ)/まるめろの花/むしかりの花/山桜/藜(あかざ)/アベリア/臼の実/苧(カラムシ)/金魚藻/忍/蓼/時計草/パパイヤ/柾の花(まさきのはな)/ユーカリの木/アカシアの花/榎の花/風車の花/雁皮の花/木苺(きいちご)/胡桃の花(くるみのはな)/紫蘭(しらん)/高砂草/桷の花(ずみのはな)/栃の花/錦木の花/庭石菖/バナナ/ひとつばたご/マロニエの花/水木の花/黐の花(もちのはな)/ゆりの木の花/えごの花/擬宝珠(ぎぼうし)/栗の花/さいかちの花/河骨(こうほね、かうほね)/小判草/すぐりの実/李(すもも)/蝉茸/虫取撫子/山牛蒡の花(やまごぼうのはな)/青柚(あおゆ、あをゆ)/アカンサス/麻/虎杖の花/犬枇杷/ウルップ草/おなもみ/萱草の花(かんぞうのはな)/昆布(こんぶ)/こばいけい草/珊瑚樹の花/朝鮮朝顔/ちんぐるま/パイナップル/はまなす/浜木綿の花(はまゆうのはな)/蛍草(ほたるそう)/山法師の花/棉の花(わたのはな)/秋の七草/尾花/オクラ/自然薯/糸瓜/初茸/木天蓼(またたび)/藪虱(やぶじらみ)/薯蕷(ながいも)/男郎花/貝細工草/山椒の実/麝香草/せんきゆうの花/蓖麻(とうごま)/ぬめり草/鳩麦/富士薊/鬼灯(ほおずき)/藪枯/藪蘭/藜の実/あかざのみ/通草(あけび)/車前(おおばこ、おほばこ)/思草/おもいぐさ/菊芋/小鮒草/千振/釣船草/野葡萄/稗(ひえ)/紅茸/木瓜の実(ぼけのみ)/めなもみ/山葡萄/吾亦紅/一位の実/岩茸/万年青の実(おもとのみ)/オリーブの実/がまずみの実/けんぽなし/珊瑚樹/占地/酢橘/橡の実(とちのみ)/楢の実/錦木(にしきぎ)/隼人瓜/菱の実(ひしのみ)/鵯上戸/藤の実/朴の実/無患子/辣韮の花/落花生/榎茸/カトレア/セロリ/滑子/冬蔦/寒葵/石蕗の花(つわのはな/冬葵/八手の花(やつでのはな)/クリスマスローズ/蝦蛄葉仙人掌(しゃこばさぼてん)/ポインセチア/葉牡丹/臘梅(ろうばい/御行/榧(かや)/野老(ところ)/仏の座(ほとけのざ)

【引用及び参考文献】

岩槻邦男 他 1997 朝日百科 植物の世界 全15巻 朝日新聞社
佐竹義輔・原寛・亘理俊次・冨成忠夫 1999 日本の野生植物 木本Ⅰ・Ⅱ 新装改訂版 平凡社
佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎・亘理俊次・冨成忠夫 1999 日本の野生植物 草本Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ 新装改訂版 平凡社
岩槻邦男 1999 日本の野生植物 シダ 新装改訂版 平凡社
八巻孝夫 2003 食材図典 生鮮食材編 小学館
鈴木基夫・横井政人 1998 山渓カラー名鑑 園芸植物 山と渓谷社
本郷次雄 1994 山渓フィールドブックス きのこ 山と渓谷社
高橋勝雄 2002 山渓名前図鑑 野草の名前 春 山と渓谷社
高橋勝雄 2003 山渓名前図鑑 野草の名前 夏・秋冬 山と渓谷社
清水矩宏・森田弘彦・廣田伸七 2001 日本帰化植物写真図鑑 全国農村教育協会
瀬川宗吉 1977 原色日本海藻図鑑 保育社
吉村庸 1974 原色日本地衣植物図鑑 保育社
清水建美 2001 図説 植物用語事典 八坂書房
新村 出 1998 広辞苑 第五版 岩波書店
牧野 富太郎 2000 新訂 牧野 新日本植物図鑑 北隆館
邑田 仁 2014 APG牧野植物図鑑Ⅰ 北隆館
邑田 仁 2015 APG牧野植物図鑑Ⅱ 北隆館

第7回 きごさい講座+句会 報告

DSC_5348DSC_53447月3日(日) 神奈川近代文学館で「第7回きごさい講座+句会」が開かれた。
学校俳句研究会幹事長、千代田区立千代田小学校教諭である山本新先生の「家族で楽しむ俳句 感性豊かな子どもを育む俳句―三つの扉」は、まず、自らの俳句体験から始まった。徐々に興味を持った家族全員で俳句を楽しんで、毎日俳句大賞やおーいお茶などのコンテストに親子で入選を果たすエピーソドには、会場からも「すごいね!」の声。俳句を子どもたちに楽しみながら教えることの実践を、すでに家庭内で試みて成果まで出した山本先生の俳句教育の情熱が伝わった。
教育現場でも、俳句を学び、作ることを通じて①日本語力②発見力③ひらめき力を育てる大きな効果があることは浸透しつつある。さらに、自然を、風習を、文化を、人を、美しいものを大切にする心を、俳句は確実に育んでくれる。俳句が取り上げられている実際の教科書の部分を、学年別に(3~6年生)示しながら、四季折々のことばや例句による日本語の響きを覚えていくプロセスを語った。
平成22年から学習指導要領に俳句の実作が義務付けられ、全ての教科書がその方向に従って記述、編集されている。しかし、クラス全員が、楽しく俳句をつくれる授業をすることは簡単ではなく、各所で出張モデル授業を実施している日本学校俳句研究会の役割もそこにある。
後半は、授業における俳句教育の具体的な方法論を展開。客席を三つに分けて、上五、中七、下五担当のそれぞれの短冊に好きな言葉を書き込み、組み合わせて、読み上げる。その結果、驚きの取り合せ、究極のナンセンス、偶然の傑作・・・が出る、その度に笑う会場。五七五に慣れるための三人俳句は、授業でも効果的な手段だという。他に五七五リレー遊び、日記俳句、作文俳句、写真俳句、俳句絵手紙、俳句と写真のスライドショー・・・ハードルを低くして、俳句と遊ぶ方法を次々と提示した。
最後によい子どもの俳句とは、リズムがよい、その子らしさが出ている、その子の発見がある、様子がよく見える、気持ちが感じられる・・・こと。現在は、夏休みの宿題に、俳句を作りが出される学校が増えている。
山本新先生の講演は、教育現場に立っている人ならではの、実感のある内容や教室の様子まで感じられて、教えられることが多く、何よりも教える側の情熱が伝わってきました。

その後、参加者全員で句会を開催。五句出、五句選。選者は、長谷川櫂季語歳代表と山本新先生。
句会後、長谷川×山本、お二人のトークの時間を設け、学校俳句に関する代表の問にひとつひとつ山本先生が説明をしていった。季語歳と研究会が一緒になって作った『こども歳時記』(小学館刊)は、教室でよく活用されている。長谷川代表の「現場の先生から俳句授業で一番多い質問は何か?」の問いかけには「子ども俳句のよい俳句の基準が、分からない」と先生方は悩んでいるという。また「小学校の先生の適正として最も重要な事は?」に対して「子どもたちと共に喜び、驚き、共感できる資質」と答えられたことが印象に残った。(レポート:西川 遊歩・写真提供:阿部郁恵)

<句会報告  選者=山本新、長谷川櫂>
◆ 山本新 選
特選
なにかにと言うて詮なき団扇かな  小早川東子
すうと来てひとめぐりして鬼蜻蜒  藤野侃
なるべくは大きな盥星映し  石川桃瑪
入選
みづからの炎に灼かれゆく薔薇よ  長谷川櫂
鈴かけの鈴あをあをと青葉騒  阿部郁恵
人文字で描く希望や夏の空  小山正見
アガパンサスアメリカ山の雨あがる  阿部郁恵
大好きな先生と覗く金魚かな  飛岡光枝
マンモスの記憶は遥か半夏雨  小山正見
氷室より切り出してこの一句かな  飛岡光枝
沖縄の空は真青や仏桑花  木下洋子

◆ 長谷川櫂 選
特選
俳諧に三つの扉燕の子  三玉一郎
情熱は涼し俳句の講義聴く   阿部郁恵
教科書で初めて知つた雲の峰  小山正見
香水やローマ落日かくありて  鈴木伊豆山
扉開け光のシャワー浴びる夏  葛西美津子
入選
炎昼のトロンボーンに深き穴  山本新
レース編む話しかけられても無言  石川桃瑪
なにかにと言うて詮なき団扇かな  小早川東子
誰だつて父母のいとし子天花粉  趙栄順
ペリカンの嘴のやうなる百合の莟  西川遊歩
君にある自由の大地夏休み  趙栄順
すうと来てひとめぐりして鬼蜻蜒  藤野侃
大好きな先生と覗く金魚かな  飛岡光枝
夏休み宿題はまづ俳句から  葛西美津子
ゆれながら眠りに落ちる未草  飛岡光枝
建築の人ら見に来る夏館  西川遊歩
水たまり残して梅雨の終はるころ  山本新
氷室より切り出してこの一句かな  飛岡光枝