楝の花(おうちのはな、あふちのはな) 仲夏
子季語 | 花樗、樗の花、栴檀の花、雲見草 |
関連季語 | 栴檀の実 |
解説 | 楝は、若葉が繁ったあと淡紫色の小さな花を房状に咲かせる。遠くから仰ぎ見ても美しい 花である。「アフチ」は栴檀の古名で、万葉集にもその名を見ることができる。「センダ ン」は千の珠という意味で、実をびっしりとつけるところからそういわれる。実の核は数 珠に利用される。 |
来歴 | |
文学での言及 | 樗咲く北野の芝生五月来ぬ見ざりし人の形見ばかりに 藤原定家『夫木和歌抄』 |
実証的見解 | 楝は、センダン科センダン属の落葉高木。日本では暖地の海岸部に自生するほか、庭や公 園などに植えられる。大きいもので高さ三十メートルにもなる。葉は羽状複葉、小葉は卵 形で五センチくらい。五月から六月にかけて、集散花序を出し、淡紫色の小花を多数咲か せる。 |
参考文献 |
どむみりと樗や雨の花曇り | 芭蕉 「芭蕉翁行状記」 | ||
樗咲里にかくるゝ公家は誰 | 尚白 「忘梅」 | ||
玉桙の道の月夜や花あふち | 来山 「続今宮草」 | ||
鮓うりのかざしにとれや花樗 | 暁台 「暮雨巷句集」 | ||
むら雨や見かけて遠き花樗 | 白雄 「白雄句集」 | ||
夜芝居の小屋をかけたる樗かな-- | 正岡子規 「子規句集」 | ||
栴檀の花そよぎつつ水の空 | 長谷川櫂 「初雁」 | ||