楪(ゆずりは、ゆづりは) 新年
子季語 | 交譲葉、杠、弓弦葉、親子草 |
関連季語 | |
解説 | 松や竹と同様、ゆずりはの葉は正月飾りに用いられる。葉柄の赤い新しい葉が生えたあと に古い葉が落ちることから「譲り葉」ともいわれる。これにちなみ、恙無く代を譲ること ができる祝木として、新年の飾りになくてはならないもの。 |
来歴 | 『花火草』(寛永13年、1636年)に所出。 |
文学での言及 | 何と思へか阿自久麻山のゆづる葉の含まる時に風吹かすかも 作者不詳『万葉集』 |
実証的見解 | 楪は、トウダイグサ科ユズリハ属の常緑高木。北海道、東北北部をのぞく日本各地の山地 に自生するほか、庭木などとして植えられる。まばらに枝別れしてして高さは四メートル から十メートルくらい、葉は枝先に輪生状に集まって互生し、長さ十五センチくらいの長 楕円形、表面は深緑色で裏はそれより白っぽい。葉柄は紅色を帯びることが多い。五月こ ろ前年枝の葉腋から総状花序を出し、花弁も萼片もない小さな花をつける。果実は核果で、 長さ一センチくらい、十月ころ黒く熟す。若葉がでてから古葉がおちるので、成長した子 にあとを譲る、というたとえにされ、めでたい木とされる。 |
参考文献 |
ゆづり葉や齢の枝折けさの山 | 東水 「東日記」 | ||
楪や縄結ぶ代のむかし草 | 似船 「反古集」 | ||
蓬莱に祝ふやけさの親子草 | 一陶 「玉かつら」 | ||
ゆづり葉や歯朶や都は山くさし | 正岡子規 「子規全集」 | ||
ゆづり葉を流す家ありをしの沓-- | 松瀬青々 「妻木」 | ||