顔見世(かおみせ、かほみせ)仲冬
【子季語】
歌舞伎顔見世、面見世、足揃、歌舞伎正月、芝居正月
【解説】
江戸時代、役者と劇場の契約は十一月から一年間で、十一月興行に新たに契約を結んだ俳優が勢揃いし、その顔ぶれを見せることからこうよばれた。初日は午前二時ころから興行があった。現在は京都、南座の十二月興行にその雰囲気が残る。
【例句】
顔見世は世界の図なり夜寝ぬ人
西鶴「花みち」
顔見世や戻りにそしる雪の寸
来山「乙矢集」
顔見世や子々孫々も此の桟敷
太祗「葎亭画賛集」
旅立ちや貌見世の火も見ゆるより
蕪村「蕪村遺稿」
かほみせや矢倉に起る霜の声
几薫「井華集」
顔見せや人の中より明烏
一茶「七番日記」
顔見世の楽屋入まで清水に
中村吉右衛門「ホトトギス雑詠選集」
顔見世の前景気とはなりにけり
日野草城「花氷」