【大賞】
夕凪は海のまぶたが閉じる音
東京都 中野区立緑野中学校 三年 長谷川桜生
(受賞のコメント)
夕暮れ時、海が静まり返る「夕凪」の瞬間を詠みました。
波の音が消えて世界がしんと静かになったとき、まるで海が眠るためにまぶたを閉じたように感じ、この言葉を選びました。俳句を作るのは難しかったですが、賞をいただけて大きな自信になりました。これからも感動を大切に、自分らしい句を詠んでいきたいです。
【 学校賞 】
東京都 葛飾区立二上小学校
北海道 札幌市立厚別南中学校
【 奨励賞 】
東京都 葛飾区立新宿小学校
東京都 江東区立第二辰巳小学校
小山正見 選
【特 選】
登校班ぼくは班長落葉ふむ
東京都 葛飾区立二上小学校 六年 松本拓弓
登校班の先頭に立って通学路を歩む高学年の子供の責任感があり、かつ自信に満ちた顔が見えるようだ。こうした子供たちが日本の未来を背負ってくれるのかと思うと頼もしい。
ビー玉が落ちて最後の夏を飲む
大阪府 枚方市立東香里中学校 三年 馬場優奈
このビー玉は、ラムネ瓶のビー玉に違いない。夏休みも終わりに近い。夏の最後の旅行の思い出かもしれない。このラムネを飲み終わったら、いつもの生活に戻らなければならない。いったいどんな味がしたのだろう。
夕凪は海のまぶたが閉じる音
東京都 中野区立緑野中学校 三年 長谷川桜生
実にうまいことを言う。夕凪は海風が止み陸風に変る間の凪のことだ。日は沈み、辺りには静寂が立ちこめる。この静寂を「まぶたが閉じる音」と捉えた感性に脱帽した。
【入 選】
青い空これから始まる僕の夏
北海道 札幌市立厚別南中学校 二年 二階堂大吾
百の顔雲にうかんで終戦日
東京都 八王子市立長房中学校 三年 大田原心愛
凩は地球をまわすようにふく
東京都 江東区立深川小学校 四年 佐藤響
秋暑し奥社につづく二百段
東京都 葛飾区立清和小学校 六年 梅田結衣子
木の実ごま回す速さはしんかんせん
東京都 江東区立有明小学校 三年 斎藤遼
夜が好きなんだかんだいって夜がすき
東京都 江戸川区立鹿骨東小学校 四年 樋口悠人
行き先は群馬と決まる夏の旅
富山県 高岡市立伏木小学校 四年 水戸芽依
【佳 作】
浅草寺凶が出ようが五月晴れ
北海道 札幌市立厚別南中学校 三年 髙橋景飛
思い出を線香花火で締めくくる
鹿児島県 鹿児島市立坂元中学校 三年 松根伊進
帰り道僕の背中の残暑かな
東京都 江東区立第六砂町小学校 六年 山川莞治
ストローの先で風待つしゃぼん玉
富山県 高岡市立伏木小学校 四年 山香葉
私より日焼けしている参考書
大阪府 枚方市立東香里中学校 三年 辻﨑穂ノ美
【選句を終えて】
今年も自らの生活や気持ちを素直に捉え、表現している多くの俳句に出会うことができた。俳句の教育材としての価値と役割を再認識させられた思いである。
髙田正子 選
【特 選】
夕凪は海のまぶたが閉じる音
東京都 中野区立緑野中学校 三年 長谷川桜生
夕方の海を大きな目にたとえました。まぶたがゆっくり閉じて、夜になってゆくさまが見えます。「音」の語が加わったことにより、静かな波音も聞こえてきます。
風鈴がなるたび猫がふり返る
奈良県 香芝市立香芝東中学校 三年 山下紗瑛
猫ってこんなことをするのね、と思いました。このしぐさをまのあたりにした作者も、きっと同じだったことでしょう。面白くて目が離せないと言っている句です。
十二時の冷たいスープ終戦日
東京都 八王子市立長房中学校 三年 丸山楓
暑いその日が「終戦日」で、十二時が玉音放送の時刻だと気づき、スープの喉越しが変わったかもしれません。季語の語り伝える役割を改めて考えさせられる一句です。
【入 選】
冬隣じいちゃんのひざねこがいる
東京都 江戸川区立鹿骨東小学校 六年 縣誠一朗
おちばふむおとうととふむ金ようび
東京都 葛飾区立新宿小学校 一年 尾花瑛大
夏の宵ピアスのような星一つ
東京都 葛飾区立新宿小学校 六年 細谷彩葉
凩は地球をまわすようにふく
東京都 江東区立深川小学校 四年 佐藤響
風光る東京の空ぎこちない
北海道 札幌市立厚別南中学校 三年 山内陽斗
パンダねるペンギンあるくあきびより
東京都 江東区立第二亀戸小学校 一年 原乙夏
たいようをぶっとばしたいなつのあさ
東京都 江東区立川南小学校 一年 木内秋斗
【佳 作】
風光る試合終わりのポテトL
東京都 葛飾区立亀青小学校 五年 星野結吾
来年はあの背中抜く南風
東京都 狛江市立狛江第一中学校 二年 海老江蓮
秋の田を新幹線がシュンとゆく
東京都 葛飾区立亀青小学校 五年 永野航輝
原爆忌テレビの前で目を瞑る
東京都 江東区立第二辰巳小学校 五年 福島悠生
オレンジのピンポン玉のような月
東京都 葛飾区立亀青小学校 五年 佐藤ほのか
【選句を終えて】
今年も楽しい句がそろいました。十五句しか選べないのがつらいです。小中学生のみなさんが、毎日の暮らしの中で何に出会い、 何を考え、どう感じているのかが、俳句を通してわかります。ここには皆さんの「今」が、ぴょんぴょんとはね回っていますね。
飛岡光枝 選
【特 選】
歌うたう歌のあさがおさいたんだ
東京都 江東区立第二辰巳小学校 二年 桑代英弦
昼間はまだあついけれど、夜はすずしくなる秋の初めの朝に開く朝顔。ラッパのような花のかたちは、レコードの音楽を聞く「ちくおんき」にも似ています。「歌のあさがお」が開く様子を「歌うたう」と歌うようによみました。
小春空こげめのついた玉子焼き
東京都 葛飾区立二上小学校 六年 篠原颯翔
冬のはじめのあたたかな一日。「小春」の日の空と「玉子焼き」というなんの関係もないような言葉が並んでより世界が広がるのが俳句。「こげめのついた玉子焼き」はとてもおいしそうで、うきうきした気持ちがよく伝わります。
ふりそでに金魚が泳ぐ夏祭り
鹿児島県 鹿児島市立坂元中学校 三年 園原凛桜菜
夏祭りの夜店を見てまわっているのでしょうか、踊りの輪で踊っているのかもしれません。動くたびにゆれるゆかたのそでの金魚のがら。それを「金魚が泳ぐ」と思い切って言ったところがりっぱです。
【入 選】
十二時の冷たいスープ終戦日
東京都 八王子市立長房中学校 三年 丸山楓
はつ冬のとうめいな声合唱だ
東京都 葛飾区立二上小学校 六年 藤原実央
雪だるままんまるすぎてこわいんだ
東京都 江東区立越中島小学校 二年 阿部望結
アゲハチョウとんだしゅんかん花ゆれる
東京都 葛飾区立新宿小学校 三年 望月結暖
こんな暑い日は自分の影に入りたい
山形県 山形市立蔵王第一中学校 三年 岸景邑
金魚持ち名を考える帰り道
東京都 江東区立毛利小学校 六年 上澤壮史
ストローの先で風待つしゃぼん玉
富山県 高岡市立伏木小学校 四年 山香葉
【佳 作】
こわくないオオカマキリはもうなかま
東京都 大田区立矢口小学校 二年 細田悠貴
凩は地球をまわすようにふく
東京都 江東区立深川小学校 四年 佐藤響
シュッシュッと冬りんご切るたんじょう日
愛媛大学教育学部附属小学校 二年 若狭早
木犀の香りのなかはあんず色
東京都 江戸川区立北小岩小学校 四年 渡辺琴巴
プカプカと浮き輪が浮ぶ海宇宙
千葉県 麗澤中学校 三年 藤平明日香
【選句を終えて】
小鳥がことばを使っているという研究が発表されました。そのニュースを聞いて、たくさんのことばを使うことができる人間はとてもいいなとあらためて思いました。
俳句はことばでできています。自分で思ったことをどんなことばで言うかを考えるのはとても楽しいと思います。俳句にまちがいはありません。これからも自由に、たくさんの俳句を作ってください。
長谷川櫂 選
【特 選】
巻きもどしもう一度あそぶ夏休み
東京都 八王子市立松が谷小学校 六年 小野田紫陽
もう一度、時間を巻き戻したい。ビデオテープのように。夏休みへのかなわぬ思いを率直に具体的に表現しています。
凩は地球をまわすようにふく
東京都 江東区立深川小学校 四年 佐藤響
凩が地球を回るのではなく、地球を回すんだね。この見方がとてもおもしろい。
どんぐりをまわせば虫も目が回る
東京都 江東区立第一亀戸小学校 三年 劉師羽
ドングリの中で眠っていた虫もびっくり。虫の気持ちを想像したところがよかった。
【入 選】
あきたかしすらすらのぼるのぼりぼう
東京都 江東区立第一亀戸小学校 一年 安田一路
こごえる夜ひとりの声が壁に消え
北海道 札幌市立札苗北中学校 三年 髙橋美遥
雪明り眠る街にも影があり
東京都 中村中学校 三年 永澤美子
こいのぼりこっちをむいてわらってる
東京都 江東区立第二辰巳小学校 三年 寺島咲依
下校路に風鈴ひとつ鳴っていた
千葉県 麗澤中学校 三年 大滝ちか
焼き芋や見かけによらず明るいヤツ
大阪府 同志社香里中学校 三年 福葉桜介
白球や背中で終わる夏の空
石川県 かほく市立宇ノ気中学校 三年 山出健太
【佳 作】
俺が来た片道切符の青田風
沖縄県 宮古島市立城東中学校 三年 福里源二郎
あきはじめおにいちゃんいつもまじめなこ
東京都 江東区立越中島小学校 一年 橋 輝
秋の風ぼくのおならが運ばれる
東京都 江東区立深川小学校 六年 鈴木誓仁
おふとんでこすり合わせる足と猫
東京都 中村中学校 三年 小峰大亜
サイダーにどんどん体はじけてる
高知県 土佐市立高岡第一小学校 四年 下村空千
【選句を終えて】
気がついてみると、特選は三句とも「まわす」の句になりました。どれも力のある句です。