草の花(くさのはな)三秋
【子季語】
草花、草の初花、千草の花、野の花、百草の花
【解説】
秋に咲く草々の花のこと。よくぞ咲いている、という思いがある。そこから、しみじみ、可憐、地味、はかないという思いが湧くが、逆にしぶとい、という印象もなくはない。
【科学的見解】
秋も春同様に多くの山野草が花を咲かせる時期である。いろいろなグループが花を咲かせるが、野山ではキク科、イネ科、シソ科などの花が目立つ。(藤吉正明記)
【例句】
草いろいろおのおの花の手柄かな
芭蕉「笈日記」
薬欄にいづれの花をくさ枕
芭蕉「曽良書留」
はなの秋草に喰ひあく野馬かな
嵐雪「玄峰集」
名はしらず草毎に花あはれなり
杉風「雪七草」
うり行くや一たばねづつ草の花
蝶夢「草根発句集」
門ありて国分寺はなし草の花
梅室「梅室家集」
穂に出でて靡くも哀れ草の花
杉田久女「杉田久女句集」
やすらかやどの花となく草の花
森澄雄「白小」
赤ん坊の肌着を干せり草の花
長谷川櫂「蓬莱」