糸瓜(へちま)三秋
【子季語】
布瓜、蛮瓜、いとうり、長瓜
【解説】
インド原産のウリ科の一年草。江戸時代に渡来したと言われ、蔓性で巻ひげで他に絡みつきながら生長する。果液は化粧水として用いられ、繊維質が発達した果実は束子となる。
【科学的見解】
糸瓜(ヘチマ)は、一般的に本州などで栽培されている品種は、繊維が多いため、束子や化粧水などに利用されている。一方、九州南部から沖縄の地域では、繊維が少ないタイプの品種が栽培され、若い果実を食用として利用している。花は、単性花(雄花と雌花に分かれる)となり、自家和合性がある。(藤吉正明記)
【例句】
仏にも是には馴るゝ糸瓜かな
鬼貫「七車」
秋風に吹かれ次第の糸瓜かな
浪化「浪化上人発句集」
水とりて妹が糸瓜は荒れにけり
蓼太「蓼太句集二稿」
堂守の植ゑわすれたる糸瓜かな
蕪村「夜半叟句集」