猫柳(ねこやなぎ)初春
【子季語】
ゑのころやなぎ、川柳
【解説】
水辺に自生しているヤナギ科の植物。早春、葉が出る前に銀鼠色 の毛におおわれた三~四センチ程の花穂を上向きにつける。その やわらかな、ふっくらとした感じが猫のようだというので名が付 いた。
【科学的見解】
ネコヤナギは、ヤナギ科の低木で、北海道から九州までの河川の中州や山野の水辺に自生している。枝は束生し、小枝は灰色で軟毛が密生するが、のちに無毛となる。本種は大変多形で、シコクネコヤナギ、ヒロハネコヤナギ、タチネコヤナギ、ハイネコヤナギなどの変種名が付けられている。古名はカワヤナギである。多くのヤナギ科植物の花芽は、白色の毛を密生している。(藤吉正明記)
【例句】
山里の雛の花は猫柳
高浜虚子「六百五十句」
病人に寒き旦暮や猫柳
宮部寸七翁「改造文学全集」
あたたかや皮ぬぎ捨てし猫柳
杉田久女「杉田久女句集」
折りかけし枝もありけり猫柳
鈴木花蓑「同人句集」
朝市や藁もて括り猫柳
長谷川櫂「果実」