【子季語】
稲田、早稲田、晩早稲、おく田、稲熱田、山田、田色づく、田の色
【解説】
稲が熟して穂をたれた田をいう。まばゆく黄金色に輝き、豊かさそのもの。台風にみまわれて、実った稲穂がことごとく倒れ臥しているのもまた、秋の田であろう。
【来歴】
『俳諧鼻紙袋』(延宝5年、1677年)に所出。
【文学での言及】
秋の田の穂の上にさらふ朝霞いづへの方に我が恋ひやまむ 磐姫皇后『万葉集』
ひとりしてものをおもへば秋の田の稲葉のそよといふ人のなき 凡河内躬恒『古今集』
秋の田のかりほの庵の苫をあらみわがころもでは露にぬれつつ 天智天皇『後撰集』
【例句】
秋の田の馬の横腹通りけり
兄直「発句題叢」