花野(はなの)三秋
【子季語】
花野原、花野道、花野風
【関連季語】
秋の七草
【解説】
萩、薄、桔梗、吾亦紅、釣舟草など秋の草花が咲き乱れる野原のこと。春の華やぐ野とは違い、秋風に吹かれる花々には哀れをさそう趣がある。
【来歴】
『花火草』(寛永13年、1636年)に所出。
【文学での言及】
村雨の晴るる日影に秋草の花野の露や染めてほすらむ 大江貞重『玉葉集』
【例句】
面白く富士に筋違ふ花の哉
嵐雪「風の末所収」
川音の昼はもどりて花野かな
千代女「千代尼句集」
吹き消したやうに日暮るる花野かな
一茶「伊丹酒船の記」
から駕籠の近道戻る花野かな
正岡子規「子規句集」
雪峰へ日影去りにける花野かな
渡辺水巴「水巴句集」
荒海のしぶきをかぶる花野かな
長谷川櫂「新年」