藪柑子(やぶこうじ、やぶかうじ)三冬
【子季語】
山橘、藪たちばな、あかだま、ししくわず、平地木、蔓柑子
【解説】
ヤブコウジ科の高さ二十センチほどの常緑低木。夏、白い花を咲かせる。冬でも枯れることのない緑の葉と小粒の赤い実の姿を楽しむ。神事にも使われる縁起物である。
【科学的見解】
薮柑子(ヤブコウジ)は、ヤブコウジ科ヤブコウジ属の在来植物であり、北海道南部から九州までの丘陵地林内に普通に生育している。白い実をつけるシロミヤブコウジやホソバヤブコウジなどの変種が存在する他、様々な園芸品種が作出されている。ヤブコウジは、江戸時代に流行した古典園芸植物でもある。(藤吉正明記)
【例句】
ぬれいろや色なる雪の藪柑子
白雄「白雄句集」
佳き友は大方逝けり藪柑子
草間時彦「盆手前」
ちゝと鳴く鳥の行方や藪柑子
巌谷小波「さゞら波」
洗ひ場に湯気こもりけり藪柑子
長谷川櫂「古志」