御降(おさがり)新年
【子季語】
富正月
【解説】
元日から三日の間に降る雨のこと。正月というだけで、ただの雨でさえも、なにやら特別の恵みのように思える。
【例句】
御降にぬくもる土の煙りかな
野弓「親類題発句集」
おさがりやまづおもはるる秋の色
二柳「題葉集」
まんべんに御降受ける小家かな
一茶「八番日記」
御さがりやここぞと開く朱傘
梅室「梅室家集」
御降りの雪にならぬも面白き
正岡子規「子規句集」
お降や袴ぬぎたる静心
村上鬼城「定本鬼城句集」
隠れ住んで此御降や世に遠し
夏目漱石「新春夏秋冬」
お降りや竹深ぶかと町のそら
芥川龍之介「澄江堂句集」
お降りやほのぼの濃ゆき寝白粉
石橋秀野「桜濃く」