杏の花(あんずのはな) 晩春
【子季語】
からももの花/杏咲く/杏散る/花杏/杏花村
【解説】
高さ三メートルから五メートルの落葉高木。樹形は梅に似る。花も梅に似ているがやや大きい。四月頃、白もしくは淡紅色の五弁の花を咲かせる。
【科学的見解】
杏(アンズ)は、中国北部山岳地帯原産の果樹である。栽培の歴史は古く、原産地から中央アジアを経てヨーロッパへ達したグループは、甘みが強いのが特徴であり、主に生食や干しアンズにされている。一方、原産地から日本へ導入されたグループは、酸味が強いため、生食よりもジャムなどの加工用として利用されている。日本のアンズの代表的な品種は、新潟大実や平和などが知られている。(藤吉正明記)
【例句】
しほるるは何かあんずの花の色
貞徳「犬子集」
山梨の中に杏の花ざかり
正岡子規「寒山落木」
花杏受胎告知の翅音びび
川端茅舎「川端茅舍句集」
一村や杏の花にうもれ住み
星野立子「笹目」