夏草(なつくさ)三夏
【子季語】
夏の草、青草
【関連季語】
草いきれ
【解説】
夏に生い茂る草のこと。抜いても抜いても生えてくる雑草や、山野をおおう青芒、萱のたぐい。炎天下、強い匂いを放ち、雨が降らなくても枯れることもない。生命力ある草々である。
【来歴】
『改正月令博物筌』(文化5年、1808年)に所出。
【文学での言及】
夏草のあひねの浜の牡蠣貝に足踏ますなあかして通れ 軽大郎女『記歌謡』
このころの恋のしげけく夏草の刈りはらへども生ひしく如し 作者不詳『万葉集』
【例句】
夏草や兵共がゆめの跡
芭蕉「奥の細道」
石の香や夏草赤く露暑し
芭蕉「曾良旅日記」
夏草に富貴を飾れ蛇の衣
芭蕉「酒堂宛書簡」
夏草や所々にはなれ駒
闌更「闌更 半化坊発句集」
夏草に身をほめかれて旅の空
鬼貫「鬼貫句選」
夏草に松の木やせる岡辺かな
曽良「続別座敷」
夏草に狩り入る犬の見えぬなり
召波「春泥発句集」
夏草や立ちよる水は金気水
一茶「御桜」
夏草や野武士が持てる馬の数
大魯「蘆陰句選」
朱ケの月出て夏草の鋭さよ
川端茅舎「川端茅舎句集」