秋の雨(あきのあめ)三秋
【子季語】
秋雨、秋黴雨、秋霖、後の村雨、秋の村雨
【解説】
秋に降る雨のこと。初秋に降る暑さを和らげる雨、台風がもたらす強く激しい雨、晩秋の冷たい雨といろいろあるが、秋雨前線による秋の長雨が印象深い。春の雨にくらべて寂しい風情がある。
【来歴】
『滑稽雑談』(正徳3年、1713年)に所出。
【文学での言及】
秋の雨にぬれつつをれば賤しけど吾妹が屋戸し念ほゆるかも 大伴利上『万葉集』
【例句】
鼬啼いて離宮に暮るる秋の雨
蕪村「夜半叟句集」
秋の雨胡弓の糸に泣く夜かな
暁台「暁台句集」
秋雨や旅に行きあふ芝居もの
召波「春泥発句集」
馬の子の故郷はなるる秋の雨
一茶「享和句帖」
秋雨や俵編む日の藁一駄
河東碧梧桐「碧梧桐句集」
と見る間に秋雨の庭暮れて無し
松本たかし「石魂」
秋雨や蕎麦をゆでたる湯の匂
夏目漱石「漱石俳句集」
石山の石洗ひけり秋の雨
藤野古白「古白遺稿」
電球のほのかにぬくし秋の雨
長谷川櫂「天球」