枯野(かれの)三冬
【子季語】
枯原、裸野、枯野道、枯野宿、枯野人、枯野原
【解説】
草の枯れ果ててひっそりとした冬の野。日、雨、風が寂々とわたり、荒涼とした景であるが、やがておとずれる芽吹きの季節を待つ姿でもある。
【例句】
旅に病で夢は枯野をかけ廻る
芭蕉「笈日記」
蕭条として石に日の入る枯野かな
蕪村「蕪村句集」
枯野行人や小さう見ゆるまで
千代女「千代尼句集」
戸口迄ついと枯込む野原哉
一茶「七番日記」
荻窪や野は枯れ果てゝ牛の声
内藤鳴雪「改造文学全集」
旅人の蜜柑食ひゆく枯野哉
正岡子規「子規句集」
吾が影の吹かれて長き枯野かな
夏目漱石「漱石全集」
遠山に日の当りたる枯野かな
高浜虚子「五百句」
チンドン屋枯野といへど足をどる
加藤楸邨「山脈」
家建ちて硝子戸入るる枯野かな
渡辺水巴「水巴句集 」
枯野来し人の指輪の光りけり
前田普羅「普羅句集」
八方に山のしかかる枯野かな
松本たかし「松本たかし句集」
大枯野突き破つてや伊吹山
長谷川櫂「虚空」