【子季語】
晩秋、末秋、末の秋
【解説】
秋を初秋、仲秋、晩秋と分けた末の秋を言う。秋も深まり冬が近づく物寂しさがある。
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晩冬(ばんとう)晩冬
【子季語】
季冬、下冬、末冬、末の冬
【解説】
陰暦十二月の異名。冬の最後の月のこと。小寒(一月五日頃)から立春の前日(二月三日頃)の一ヶ月。厳しい冬の果ての風情と、かすかな春の到来を感受できる頃。
肌寒(はだざむ)晩秋
【子季語】
肌寒し、はた寒
【解説】
秋半ばから晩秋にかけて肌に直接感ずる寒さ。夜はもとより、雨の日など、昼間でも寒さを感じることが多くなり、秋が深まってゆく。
【例句】
湯の名残今宵は肌の寒からむ
芭蕉「柞原」
肌寒き始めにあかし蕎麦の茎
惟然「続猿蓑」
肌寒し竹切る山の薄紅葉
凡兆「猿蓑」
影見えて肌寒き夜の柱かな
暁台「暁台句集」
そぞろ寒(そぞろさむ)晩秋
【子季語】
すずろ寒、そぞろに寒し
【解説】
冷やかよりやや強く感ずる寒さ。「そぞろ」は「何となく」「わけもなく」の意味があり、体で感じる寒さというより、季節が移ろっていくさまを心に受け止め感ずる寒さ。
一月(いちがつ、いちぐわつ)晩冬
【解説】
一年のはじめの月。寒さがもっとも厳しくなる。新年なので各地ではなやかな行事が行われる。
一月の川一月の谷の中
飯田龍太「春の道」
大寒(だいかん)晩冬
【子季語】
寒がはり
【解説】
二十四節気の一つ。陽暦の一月二十一日ごろにあたり、このころから立春までの間が、一年のうちで最も寒さが厳しい。
【例句】
大寒の大々とした月よかな
一茶「七番日記」
大寒やあぶりて食ふ酒の粕
村上鬼城「定本鬼城句集」
大寒や下仁田の里の根深汁
村上鬼城「定本鬼城句集」
大寒や水あげて澄む莖の桶
村上鬼城「定本鬼城句集」
大寒の埃の如く人死ぬる
高浜虚子「五百五十句」
薬のんで大寒の障子を見てゐる
臼田亜浪「定本亜浪句集」
霜とけて大寒こゝに終りけり
原石鼎「原石鼎全句集」
大寒やしづかにけむる茶碗蒸
日野草城「青芝」
大寒の残る夕日を市の中
石橋秀野「桜濃く」
大寒の一戸もかくれなき故郷
飯田龍太「童眸」
大寒の天の一角昏れあます
高田正子「玩具」
処暑(しょしょ)初秋
【子季語】
処暑の節
【解説】
二十四節気の一つ。立秋の十五日後で、八月二十二、二十三日ごろ。「処」は暑さが収まる意だが、実際はまだまだ暑い日が続く。台風が頻繁にやってくる時期にもあたる。
冬の暮(ふゆのくれ)三冬
厳寒(げんかん)晩冬
【子季語】
厳冬、酷寒、極寒、寒きびし
【解説】
冬の厳しい寒さのこと。強い北風の日が続くと、寒さはいっそう増し北国では吹雪や凍結などにより、日常の生活にも支障をきたすことになる。身も心も刺すような厳しい寒さをいう。
【例句】
厳寒や夜の間に萎えし草の花
杉田久女 「杉田久女句集」
秋の朝(あきのあさ)三秋
【子季語】
秋朝
【解説】
立秋を過ぎると、残暑が厳しくとも、朝夕は爽やかとなる。秋の朝というとその頃の印象が強い。仲秋から晩秋にかけては肌寒さを感じる朝も多くなる。
【例句】
砂の如き雲流れ行く朝の秋
正岡子規「子規句集」
桑の葉に秋の朝雲定まらず
原月舟「月舟全集」
秋朝や痛がりとかす縺れ髪
杉田久女「杉田久女句集」