リレーエッセイ 039 清明節 西川遊歩
龍の年である今年の正月、中国の国宝「清明上河図」をこの目で拝もうと東京国立博物館に向かったが、朝から溢れかえる人波に退散。日を改めて、予め前売り券を購入し開館前から列に並び、それでも長ーい待ち時間の末、神品といわれる絵巻物に辿り着いた。「清明上河図」は、北宋の都、開封の清明節の情景を描いたものである。都の春の一日、約600人の人々が思い思いの表情で往来や川や船や橋で、絵巻をはみ出すごとくさざめいている。
清明節は、二十四節気のひとつで春分の日から15日目、新暦4月5日頃にあたる。万物が明るくすがすがしく感じられる美しいころだ。中国では清明に墓参をする習慣があり、祝日である。墓参の後に踏青(郊外への野遊び)したり、鞦韆(しゅうせん=ぶらんこ)や蹴鞠や闘鶏などの遊びがさかんに行われた。
清明節といえば、浙江省杭州の郊外で産し歴代の皇帝に献上されたことでも知られる龍井(ロンジン)茶は、清明節の前に摘んだ茶葉を「明前茶」と呼び、味、香りともに最高の品質として評価する。献上されたこの一番茶を皇帝が召し上がって、はじめて春到来とされたとも。清明節は墓参をする日から、祖先を供養する、さらに革命に殉じた烈士を祀る日にもなっていった。ちなみに今年、2012年の清明節は、4月4日です。(きごさい副代表 写真=中国茶)
