リレーエッセイ001 クリスマスツリー 飛岡光枝
ある年のクリスマスをニューヨークで過ごした。ロックフェラーセンターの巨大なクリスマスツリーもすばらしかったが、何よりも心に残ったのは自然史博物館のツリー。飾りはすべて「ORIGAMI」の恐竜や動物たちでできていた。
私の父がある冬、もみの木を背負って会社から帰ってきたことがあった。器用な父は材木で鉢を作り、そこにペンキで煉瓦を描いた。天辺には大きな星。だが父の予算はそこまで。すると、姉が折り紙を始めた。奴さんはサンタさんに、帆掛け船は橇に、風船はミラーボールに変身した。母が脱脂綿を薄く伸ばした雪を飾るとすてきなツリーが完成した。
それから毎年、徐々に煌びやかな天使やトナカイなどの飾りが増えていき、折り紙の飾りはいつの間にか姿を消した。家庭でツリーを飾ることが珍しかったあの時代、父はどこで本物のもみの木を手に入れたのか。もう尋ねることすらできないが、今でも折り紙の奴さんを見ると父のツリーを思い出す。(季語歳理事、写真=群馬県で)
