リレーエッセイ014 更衣 福島光加
小学校から高校までの12年間、同じ制服を着て通った。
夏の上着は 白い長袖と半そでの二種。白いセーラーカラーの襟を縁取る線も白で、小学生は一本。その上のお姉さんたちは2本。
きっちりと6月1日でなくても、5月の末になると いつ衣替えのサインを出すか、先生たちは 気温を見ながら職員室で検討していたらしい。何しろ育ち盛りの子供たち。紺の重い制服は 暑い日にはつらい。
GOサインの出た翌朝は、大通りをまがり学校に通じる小道を登校していく小学一年生から、すっかりおとなの最終学年の学生たちまでの真っ白い集団は、初夏の光を受けまぶしいほどだった。そのなかにまじって、身も心も軽々と、この日は特別になんだかうきうきとした気分にさえなったものだった。
後年 花の仕事をするようになり,このころになると 稽古の花材に梅花空木が出てくる。もうそんな季節になったのかとゆるい孤をえがく枝を手に取れば、あくまでも白い花を浮き立たせるような、濃いけれど明るい緑の葉。目にも涼しげなこの花は、季節が一気に夏へと移っていくしるし。
さあ今年はどのくらい暑くなるか。夏に向かう小さな覚悟も、そこには向けられているような気がする。(季語歳理事 写真=梅花空木)
