夏近し(なつちかし) 晩春
【子季語】
夏隣る/夏隣
【解説】
春もまもなく終わろうという頃、空の色や日差しの強さ、木々の盛んな様子などに夏が近いことを実感する。躍動的な夏が近づいてくることへの期待感。厳しい暑さが到来することへの覚悟。「夏隣」ともいう。
【例句】
夏近しその口たばへ花の風
芭蕉「続山井」
清滝に宿かる夏の隣かな
蓼太「蓼太句集二篇」
夏隣る山に追はるる心かな
卉文「世美家」
夏近き吊手拭のそぎかな
内藤鳴雪「鳴雪俳句鈔」
磐石をぬく灯台や夏近し
原石鼎「花影」