楊梅の花(やまもものはな) 仲春
【子季語】
山桃の花
【解説】
ヤマモモ科ヤマモモ属の常緑高木。関東や福井県よりも南西部の暖地、沿岸域に自生し、十メートルほどにもなる。四月ころ開花する。雄花は褐色で三、四センチくらい。雌花序は一センチくらいで赤い。実は入梅のころ熟し、ジャムや果実酒になる。味が桃の実に似ていたことからこの名がついた。
【科学的見解】
ヤマモモは、ヤマモモ科の常緑高木で、関東南部から琉球までの主に海岸近くの山地に生育する。また、本種は、根系に共生細菌(放線菌)を有した窒素固定植物で、大気汚染等にも強いことから、公園や工場の緑化木や街路樹としてもよく植栽されている。本種は、個体ごとに単性花(雄花もしくは雌花)をつける雌雄異株となるため、複数の木々が存在しないと実がならない。開花期は春で、初夏には酸味のある集合果を形成する。(藤吉正明記)