郭公(かっこう、くわくこう)三夏
【子季語】
閑古鳥
【解説】
初夏、南方から日本に渡って来る鳩よりやや小形の鳥。明るい林や草原で「カッコー、カッコー」と鳴く。江戸期によく用いられた閑古鳥という名は、鳴声ののどかさによるものであり、「かっこうどり」の変化したものでもある。
【科学的見解】
カッコウは、カッコウ科の野鳥で、九州から北海道までの地域に夏鳥として渡来する。山地の原野や林を好み、高原の代表的な鳥になっている。近縁種としては、ツツドリ、ホトトギス、ジュウイチ等が知られており、本種含めて全て夏鳥として渡来し、他の野鳥の巣に卵を産み付け、雛を育てさせる托卵性が共通の特徴となっている。それらは、姿や形が似ているが、鳴き声はそれぞれ異なる。(藤吉正明記)
【来歴】
『毛吹草』(正保2年、1645年)に所出。
【例句】
憂き我をさびしがらせよかんこどり
芭蕉「嵯峨日記」
侘びしらに貝ふく僧よかんこ鳥
其角「続虚栗」
飯櫃の底たたく音やかんこ鳥
蕪村「俳諧新選」
郭公や何処までゆかば人に逢はむ
臼田亜浪「亜浪句鈔」
あるけばかつこういそげばかつこう
種田山頭火「草木塔」