忘れ霜(わすれじも) 晩春
【子季語】
別れ霜、霜の名残、晩霜、終霜、名残の霜、霜の別れ、霜の果、霜害
【関連季語】
春の霜、霜
【解説】
春、遅くなってから降りる霜のこと。古来「八十八夜の別れ霜」といって、立春から数えて八十八夜(五月二日頃)ごろに最後の霜が降りると、農家に恐れられた。野菜や桑や茶などに害をもたらす霜である。
【来歴】
『俳諧通俗誌』(享保2年、1716年)に所出。
【例句】
花過てよし野出る日や別れ霜
几董「井華集」
鴈小屋のあらはになりぬ別霜
白雄「白雄句集」
笘あけて見るや夜船の別霜
吟江「推敲日記」
狭むしろは宵のままなりわかれ霜
茂林「骨書」
蝶あした地を這ふ霜の別れかな
箕明「春秋稿」
鶯も元気を直せ忘れ霜
一茶「七番日記」
別れ霜庭はく男老にけり
正岡子規「寒山落木」