蕗の薹(ふきのとう、ふきのたう) 初春
【子季語】
蕗の芽、蕗の花、蕗のしゆうとめ
【解説】
蕗は菊科の多年草で山野に自生する。早春、新葉が出る前に根茎から卵の形をした緑色の花茎を出す。花茎は数枚の大きな鱗のような葉で包まれ、特有の香気とほろ苦い風味が喜ばれる。花がほうけたものを蕗の姑という。
【例句】
にがにがしいつまであらし蕗のたう
宗鑑「真蹟短冊」
里山や下葉撥るる蕗の薹
嵐雪「為延追善集」
山陰やいつから長き蕗の薹
凡兆「芭蕉袖草紙」
莟とはなれもしらずよ蕗のたう
蕪村「蕪村句集」
皆水に浮きぬ手桶の蕗の薹
星野立子「句日記Ⅱ」
ほろ苦き恋の味なり蕗の薹
杉田久女「杉田久女句集」
甦る春の地霊や蕗の薹
杉田久女「杉田久女句集」
猪を炙り蕗の薹まぶしかな
長谷川櫂「初雁」