若布(わかめ)三春
【子季語】
和布、にぎわ、めのは、布株、めかぶとろろ、鳴門若布、若布汁、若布売り
【解説】
北海道から九州にかけて生育する。長さは二メートルくらいにまでなる。日本人に古くから食されてきた海草。春先、茎の両側に胞子嚢ができる。酢の物や味噌汁などの具材として重宝される。塩蔵するので、通年食卓に上る。
【科学的見解】
若布(ワカメ)は、日本近海に分布し、低潮線付近から漸深帯までの岩場に付着する褐藻類である。葉は、左右に羽状裂片を持ち、基部の葉片がひだ状になったものをメカブと呼ぶ。近縁の種としては、ヒロメやアオワカメが存在するが、ワカメに比べ食用としての品質は劣る。(藤吉正明記)
【例句】
霖雨に生きかへりたる若和布かな
蕪村「落日庵日記」
草の戸や二見の若和布貰ひけり
蕪村「落日庵」
春深く和布の塩を払ひけり
召波「春泥発句集」
桶一つ乗せて早春の若布舟
島村元「島村元句集」
荒塩の粒のつづれる若布かな
長谷川櫂「虚空」