蕗(ふき) 初夏
【子季語】
蕗の葉、蕗の広葉、秋田蕗
【関連季語】
蕗の薹、伽羅蕗、蕗味噌、蕗伐
【解説】
蕗は初夏、柔らかな緑の団扇のような葉を広げる。食用ともなる。さっと茹でて水にひたして灰汁を抜く。香りがあり、ほのかな苦味もあって、煮物や伽羅蕗にする。
【来歴】
『花火草』(寛永13年、1636年)に所出。
【科学的見解】
蕗(フキ)は、日本在来のキク科の多年草で日本各地の山野に広く自生する。早春、葉よりも先に花茎が伸びる。これが蕗の薹である。初夏、長い葉柄の先端に円形の大きな葉を一枚傘のようにつけて成長する。山地に自生する蕗の葉柄は五十センチくらい。栽培される秋田蕗(アキタブキ)はフキの亜種であり、その葉柄は百五十センチにもなる。(藤吉正明記)
【例句】
卯の花のこぼるる蕗の広葉哉
蕪村「蕪村句集」
山陰や蕗の広葉に雨の音
蘭更「半化坊発句集」
青蕗や虫の穴さへうつくしく
長谷川櫂「天球」