筍(たけのこ) 初夏
【子季語】
たかんな、たこうな、孟宗竹の子、淡竹の子、真竹の子、とまり筍
【関連季語】
筍飯、春の筍
【解説】
竹の新芽。土の中から顔を出し、すばらしい速さで伸び若竹となる。竹の生命力のかたまり。食用にもし煮物や筍飯など料理法もさまざま。
【来歴】
『俳諧初学抄』(寛永18年、1641年)に所出。
【文学での言及】
今さらに何生ひ出づらむ竹の子の憂き節しげき世とは知らずや 凡河内躬恒『古今集』
ませの内に根深く植し竹の子のおのが世々にや生ひ別るべき『源氏物語』胡蝶巻
【科学的見解】
筍は、地下茎から出る竹の新芽である。筍は地中にあるうちにすべての節がつくられ、根本から順に伸び始める。成長が早く、地表に芽が出るころには、日に数十センチも伸びる。主に、孟宗竹(モウソウチク)、淡竹(ハチク)、真竹(マダケ)を食用にされているが、黒竹(クロチク)、四方竹(シホウチク)も食べられる。また、笹の仲間として、根曲竹(ネマガリダケまたはチシマザサ)の筍も山菜などとして昔から楽しまれてきた。
(藤吉正明記)
【例句】
たけのこや推き時の繪のすさび
芭蕉「猿蓑」
うきふしや竹の子となる人の果
芭蕉「嵯峨日記」
竹の子や児の歯ぐきのうつくしき
嵐雪「炭俵」
竹の子の力を誰にたとふべき
凡兆「猿蓑」
竹の子に小坂の土の崩れけり
園女「住吉物語」
竹の子やかたばみ草のとりついて
成美「成美家集」
筍の光放つてむかれたり
水巴「水巴句集」
筍や笑ふがごとく湯の煮ゆる
長谷川櫂「果実」