秋彼岸(あきひがん) 仲秋
【子季語】
後の彼岸、秋彼岸会
【関連季語】
彼岸、彼岸会、秋分
【解説】
秋分の日(九月二十三日ごろ)を中日とし、前後三日を含めた七日間を指す。お墓参りをし、おはぎを作ってご先祖に供える。彼岸は春と秋の二回あり、秋の彼岸は後の彼岸ともいう。ただ彼岸という場合は春の彼岸を指す。
【来歴】
『世話盡』(明暦2年、1656年)に所出。
【実証的見解】
彼岸は、亡き先祖に感謝し、その霊をなぐさめ、自分も身をつつしみ極楽往生を願う日本特有の仏教行事である。『源氏物語』にその記述があり、平安時代にはすでに行われていたとされる。太陽信仰と深いかかわりがあり、真東から上がって真西に沈む太陽を拝んで、阿弥陀如来が治める極楽浄土に思いをはせたのが起源とされる。「日の願(ひのがん)」から「彼岸」となったという説もある。彼岸は春彼岸と秋彼岸とがあり、春彼岸は種まきの季節で、その年の豊穣を祈る気持ちがつよく、秋彼岸は収穫に感謝する気持ちがつい。
【例句】
風もなき秋の彼岸の綿帽子
鬼貫「七車」
きらきらと秋の彼岸の椿かな
木導「韻塞」
傘(からかさ)をかたげて秋の彼岸かな
青流「住吉物語」
火の中に栄螺ならべて秋彼岸
長谷川櫂「果実」