寒牡丹(かんぼたん)三冬
【子季語】
冬牡丹
【解説】
もともと初夏の花である牡丹の花芽をつみとって冬に咲かせるようにしたもの。藁囲いをして、寒さの中大輪の花を咲かせる。
【科学的見解】
牡丹(ボタン)は、ボタン科ボタン属の落葉低木である。中国原産の植物で、古い時代に日本へ導入され、現在では様々な園芸品種が作出されている。ボタンは、年一回咲きの品種と年二回咲きの品種に分けられ、寒牡丹は年二回咲きの品種を仕立てたものである。年一回咲きのボタンを人工的に開花期を調整し、冬に咲かせたものは冬牡丹として区別されている。(藤吉正明記)
【例句】
ひうひうと風は空ゆく冬牡丹
鬼貫「荒小田」
冬牡丹千鳥よ雪のほととぎす
芭蕉「甲子吟行」
冬牡丹手をあたたむる茶碗かな
才麿「金毘羅会」
咲きかねて紅充ちし冬牡丹
渡辺水巴「水巴句集」
一つ散りて後に花なし冬牡丹
正岡子規「子規全集」
霜除を出て金屏に寒牡丹
松本たかし「石魂」