荻(おぎ)三秋
【子季語】
風持草、風間草、寝覚草、浜荻、荻原
【解説】
湿地に群生するイネ科の大型多年草。薄とよく似るが、茎は見上 げるほど高く、その頂に銀白色の大きな花穂をつける。風に葉の 擦れ合う音がわびしさを誘うことから、古来より秋風とともに歌 に詠まれてきた。
【科学的見解】
荻(オギ)は、イネ科ススキ属の在来多年草であり、北海道から九州まで分布している。オギは、水辺を好むため、河川や池沼などに群生している。花期は、九月から十月である。ススキに似ているが、小花の先端の芒(のぎ)の有無で両種を区別できる。オギの小花には、のぎがない。(藤吉正明記)
【例句】
荻の穂や頭をつかむ羅生門
芭蕉「芭蕉翁発句集」
鉢に植ゑてかひなき荻のそよぎかな
来山「雀の森」
浜荻や海士の塩木の火吹竹
言水「江戸新道」
見ぬ恋や夜のあらしの荻をうつ
大江丸「俳懺悔」
月落ちて荻より起る嵐かな
紫暁「なにはの月」
荻の葉に折々さはる夜舟かな
内藤鳴雪「春夏秋冬」